- 安田 一行 (やすだ・いっこう)
- 総合内科・臨床感染症学講座 講師
- 研究グループ
- 安田一行(福島県立医科大学)、山下嘉郎・田中健之・鈴木秀一(長崎大学)、Naomi Ruth D. Saludar・Ana Ria Sayo(サンラザロ病院)、松本壮吉・尾関百合子・小林悠・西山晃史(新潟大学)、横山晃(東京大学)、Sharon E. Cox(ロンドン大学衛生熱帯医学大学院)
概要
論文掲載雑誌:「Frontiers in Immunology」(April 10, 2024)
結核は毎年約1,000万人が発症し、150万人が命を落とす、世界で大きな問題とされている感染症の一つです。世界の人口の約4分の1が結核菌に感染しています。ほとんどの人は症状が無く周囲に結核菌を感染させない「潜在性結核感染」の状態ですが、一部の人では進行して発症し「活動性結核」となり、周囲の人に結核菌を感染させ始めてしまいます。もし、潜在性結核感染者の中から、発症して活動性結核になりそうな人を早めに見つけ出してあらかじめ治療できれば、結核を広げることなく根絶に向かわせることができます。しかしこれまでの結核菌感染の診断法では、活動性結核と潜在性結核感染の区別や、発症するかどうかを事前に予測することは困難でした。
本学総合内科・臨床感染症学講座の安田一行講師は、長崎大学(山下嘉郎・田中健之・鈴木秀一)、新潟大学(松本壮吉・尾関百合子・小林悠・西山晃史)、東京大学(横山晃)、フィリピンのサンラザロ病院(Naomi Ruth D. Saludar・Ana Ria Sayo)、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院(Sharon E. Cox)との共同研究で、結核菌が休眠状態にある時に作り出す特定の物質(mycobacterial DNA-binding protein 1: MDP-1)で被検者の血液を刺激した際の血液中の免疫反応を示す物質(インターフェロンγ)を測定することで、「活動性結核患者」・「活動性結核患者の同居家族(発症リスクの高い潜在性結核感染者を想定)」・「結核患者と接触のない病院職員(発症リスクの低い潜在性結核感染を想定)」のそれぞれを区別できる可能性を示しました。
このような検査が実用化されれば、結核を発症するリスクの高い人を発症前に見つけ出して治療することで結核の広がりを未然に防ぎ、結核根絶への大きな一歩を踏み出すことができるでしょう。本研究成果は、その検査法の礎となる貴重なデータになります。
(安田一行)
連絡先
公立大学法人福島県立医科大学 総合内科・臨床感染症学講座
電話:(大学代表024-547-1111(代))FAX:024-547-1210
メールアドレス:ikkoh@fmu.ac. jp(スパムメール防止のため、一部全角表記しています)