- 三阪 智史 (みさか・ともふみ)
- 医学部 循環器内科学講座・心臓病先進治療学講座 助教
- 研究グループ
- 三阪智史、新村裕子、義久精臣、和田健斗、君島勇輔、横川哲朗、阿部諭史、及川雅啓、金城貴士、小林淳、八巻尚洋、國井浩行、竹石恭知
概要
論文掲載雑誌:「Journal of Hypertension」(in press)
睡眠呼吸障害(sleep disordered breathing, SDB)は、心血管疾患と強く関連している。また、血圧変動が心血管疾患の発症や臓器障害に影響することが認識されるようになり、血圧変動を評価することは重要である。最近、脈波伝達時間(pulse transit time, PTT)を用いることで、一心拍毎の連続的な血圧(PTT血圧)および血圧変動の評価が可能になった。本研究では、SDBイベントとPTT血圧および血圧変動との関連性、血圧変動と臓器障害(慢性腎臓病、左室肥大)との関連性について検討を行った。
当院循環器内科にて、簡易型SDB検査を実施した242名を対象とした。SDB検査時に連続的PTT血圧(収縮期・平均・拡張期)を記録した。PTT血圧の標準偏差(SD)を算出し、また血圧変動の指標として収縮期PTT血圧が30秒以内に12 mmHg以上上昇した1時間あたりの回数をPTT indexと定義して解析を行った。
対象者の平均年齢は65.9歳、男性が163名(67.4%)、平均無呼吸低呼吸指数 20.6 回/時、平均PTT index 6.7 回/時であった。収縮期・平均・拡張期のPTT血圧SDは、SDB重症度の指標である無呼吸低呼吸指数や酸素飽和度低下指数と有意な相関を認めた。PTT indexは、無呼吸低呼吸指数、酸素飽和度低下指数や最低酸素飽和度と有意な相関を認めた。ロジスティック回帰分析では、無呼吸低呼吸指数、酸素飽和度低下指数は、PTT indexと収縮期・平均・拡張期のPTT血圧SDを規定する因子であった。さらに、血圧変動と臓器障害との関連性を検討するためにロジスティック回帰分析を行ったところ、拡張期PTT血圧SDは、慢性腎臓病および左室肥大と関連する因子であった。
以上のことから、SDBは夜間の血圧変動に関連しており、PTT血圧測定は、夜間の超短期的血圧変動や臓器障害との関係を評価するのに有用であることが示唆された。
連絡先
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