福島県立医科大学 研究成果情報

第60回日本腎臓学会学術総会 奨励賞 〔平成29年5月〕(2017-05-26)

震災避難がCKD発症に及ぼす影響

林 義満 (はやし・よしみつ)
医学部 腎臓高血圧内科学講座 准教授
        
研究グループ
林 義満、橋本重厚、旭 浩一、田中健一、寺脇博之、風間順一郎、福島県民健康調査グループ

今回の受賞について

【 日本腎臓学会 】
1959年創立、会員数約10,500名の学会で、腎臓学とそれに関連する諸分野の研究調査を行いながら、国民への知識の普及を図り、さらに学術を発展させ国民に還元することを目的とした活動を行っています。
【 会長賞 】
今回開催された第60回日本腎臓学会学術集会の応募総数921演題から優秀演題賞が選出され、更にその中から5題が「日本腎臓学会学術総会会長賞」として表彰されるものです。

概要

福島県では原発事故のため避難区域の住人は震災後も長期にわたり避難生活を余儀なくされた。
長期避難が生活習慣病の発症や悪化と関連していることが報告されるようになり、慢性腎臓病(CKD)の発症にも関与するのかを避難区域住人と非避難区域住人の健診データ(2011年~2014年)を元に調査した。
2011年をベースラインとし、CKDの発症をアウトカムとしCOX比例ハザードで解析した。ベースラインの年齢、性別、eGFR、高血圧や糖尿病や肥満などで調節しても避難はCKD新規発症の独立した危険因子(HR 1.45, 95%CI1.35-1.56)であった。
この結果から、長期避難を強いる大規模震災発生時には、特に避難住民への生活習慣病予防への介入がCKD発症を抑制するには有効と思われた。

(林 義満)


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