福島県立医科大学 研究成果情報

米国雑誌「Molecular and Cellular Biology」掲載 〔平成26年4月〕(2014-04-05)

A Cluster of Thin Tubular Structures Mediates Transformation of the Endoplasmic Reticulum to Autophagic Isolation Membrane

オートファジ―隔離膜は小胞体から細管集合体を介して形成される

和栗 聡 (わぐり・さとし)
福島県立医科大学 解剖・組織学講座 教授
        

概要

論文掲載雑誌: Molecular and Cellular Biology. 2014 Apr.5
【オートファジー形成に関わる新たな細管集合体の発見】
細胞の中では様々な機能物質が作られるだけでなく、不必要となったものは分解され、常に細胞成分が入れ替わっています。 その分解の一翼を担う現象が“オートファジー”です。特に飢餓環境下のアミノ酸供給機構として知られると共に、最近は神経変性疾患やがんなどの病気にも密接に関係することが分かってきました。 オートファジーが発動されると隔離膜という新たな膜が作られ、細胞の一部を取り囲んでリソソームという小器官に運んで分解します。最初にできる隔離膜の由来は数10年以上謎でしたが、最近は粗面小胞体という細胞小器官から生成されるらしいこと、オメガソームという構造が前身構造であることが分かってきました。 今回私達は、電子顕微鏡解析という1ミクロン以下の世界で研究を展開し、粗面小胞体から極めて細い小管が多数現れて隔離膜に移行すること、そしてこれが光学顕微鏡で見つかったオメガソームに相当することを明らかにしました。そしてこの新しい構造をIMAT (isolation membrane associated tubule)と命名しました。 ものの形が分かればそこに局在する分子機能の解明にも役立ちます。オートファジーが関連する病態解明に弾みがつくことを期待しています。

(和栗 聡)


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