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「学長からの手紙」番外編 〜 新聞・雑誌への寄稿文から 〜

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特別編 「学長への手紙」

本学菊地理事長兼学長がかねてより親交を深めている日本整形外科学会理事長・岩本幸英先生(九州大学整形外科教室教授)より、7月中旬、次のようなご連絡を頂戴いたしました。

福島県立医科大学 理事長兼学長 / 日本脊椎脊髄病学会理事長
菊地 臣一  先生

雑誌 「整形外科」 にフランスの整形外科医であるKapandji(カパンディ)先生の特別寄稿「日本人の栄誉」が掲載されています。福島原発事故の復旧にあたる日本人の姿に感動して詩を書き、親交のある福大リハ(福岡大学リハビリテーション部) の塩田教授に送り、塩田教授が翻訳したものです。機会があればご覧になっていただければ幸いです。 〔一部抜粋、注釈追加〕

日整会理事長  岩本 幸英

東日本大震災や原発事故からの復興に立ち向かう、すべての人々を勇気づけるメッセージとして、多くの方々にお読みいただきたい詩と寄稿文を、関係の先生方および雑誌発行者の許可を得て「学長からの手紙」特別編「学長への手紙」として転載いたします。〔下記本文中敬称略〕

日本整形外科学会 (http://www.joa.or.jp/jpl)
南江堂 (臨床雑誌「整形外科」発行社) (http://www.nankodo.co.jp)

臨床雑誌「整形外科」特別寄稿 日本人の栄誉… Kapandji AI/塩田悦仁

生体力学の嚆矢(こうし)で、その世界的名著『Anatomie Fonctionnellie』(機能解剖学)により高名なフランスのKapandji先生から、今回の東日本大震災に際しての日本人を讃えた詩が筆者のもとヘ届けられたので紹介させていただく。

フランスのテレビニュースで、食料や水の配給に際して混乱することなく、雪の降るなか整然と一列に並びひたすら待ち続けている被災者の人々を目の当たりにして、先生は震災に対する日本人の冷静な対応に驚きと感動を覚えたという。 また一方では、原発事故に対して危険を顧みず、命を賭して注水作業にかかわる人々に深く感銘を受けられ、これは「愛のカミカゼ」であると日本人を賞賛している。
まさに「大和心の雄々しさ」が世界へ発信され、正当に評価されたことの証であり、日本人として誇りに思う。

一日も早く原発問題が終息し、この詩にあるように、人々の雄々しさが手本となり、「願わくば栄誉を重んじる感情が再び人々の心に芽生えんこと」を心から祈念している。

(福岡大学リハビリテーション部教授 ・ 塩田悦仁)

 

ĽHonneur des Japonais…
Il y a toujours des ressources en ľHomme…
En ce moment,les Japonais donnent au monde
Une grande leçon de noblesse et de courage:

Leur stoïcisme devant ľadversité
Leur solidarité en ces temps de catastrophe
Leur compassion devant le malheur des autres
Forcent ľadmiration et le respect…

Mais le plus étonnant,c’est que ces hommes
Qui étaient capables de se sacrifier
Pour couler un Porte-Avion ennemi,
Sont tout autant disposés à donner leur vie
Pour sauver leurs semblables…

De Kamikazes de la Haine,prêts à tuer,
Ils sont devenus Kamikazes de ľAmour
Prêts à donner leur vie pour en sauver ďautres:

Vingt volontaires étaient demandés
Pour travailler en zone contaminée,
Cent trente se sont spontanément présentés!
Dans ľHistoire de ľHurnanité,
Nombreux ont été les héros sacrifiés
Ne serait-ce que les≪Liquidateurs≫ de
Tchernobyl.

Mais aujourďhui,dans ces temps ďApocalypse,
Les Japonais sont ľHonneur de la Planète!

Souhaitons que leur exemple soit à ľorigine
Du renouveau de ce sentiment de ľhonneur
Qui semble parfois faire cruellement défaut
Dans nos sociétés de consommation…



   [Adalbert I/KAPANDJI 17/03/2011]

 

日本人の栄誉…
どんな状況でも人類には可能性がある…

いま、日本人は世界に崇高さと勇気の大きな教訓を与えている

逆境を前にした彼らの平静さ
大惨事のときの彼らの団結
他人の不幸を前にした彼らの憐憫(れんびん)の情
これらは感嘆と尊敬の念を抱かせずにはいられない…

しかも驚嘆すべきは、 かつて敵の「空母」を撃沈するため自己犠牲することをいとわなかった人々が、
いま、またまったく同様に、同胞を救うために命を捧げている同一民族がいるということだ…

殺戮(さつりく)を招く「憎しみのカミカゼ」から、彼らは「愛のカミカゼ」になった
決死の覚悟で他人を救おうとしている

放射能汚染地域での活動に20名のボランティアが募られ、なんと130名が自らすすんで即座に集まった!
「人類の歴史」のなかで、
たとえばチェリノブイリの≪掃除人たち≫のように、幾多の犠牲になった英雄たちがいた

今日、この「大惨事」のなかで、日本人は地球の栄誉である!

願わくば彼らを手本として、
時にわれわれの消費社会に恐ろしいほど欠けているように思える
栄誉を重んじる感情が再び人々の心に芽生えんことを…


[Adalbert I/KAPANDJI 17/03/2011]
(試訳: 塩田悦仁)

「整形外科」Vol.62 No.7(2011-7)608-609〔南江堂〕
※ Webページ向けに改行位置、読みがな等を改変しています。
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