菊地臣一 コラム「学長からの手紙  〜医師としてのマナー〜

<< 前のページ  目次  次のページ >>

13.挨拶の励行を

人と人との繋がりの第一歩は、挨拶です。しかも、出来る事なら明るい挨拶です。暗い挨拶はあまり意味がありません。挨拶する事が先ず他人とのコミュニケーションをするという一つの意思表示なのです。朝、会った時一番に「お早うございます。」という一言がどれだけ人の心を柔らかくしてくれるか判りません。

私がこの大学に赴任した時、一番驚いた事は医局の行事が朝始まる時に全く時間が守られていない事と決して挨拶をしない事です。世の中の不平、不満を一人で背負った様な顔をして煙草を吸いながら入って来、無言のまま又立ち去っていきます。あの光景を見た時、この人達はどうして大学にいるんだろう。そんなに居たくない組織なら何故辞めないのだろうと真剣に考えてみた事があります。やはり、朝の行事は定刻にしかも明るい挨拶と共に始まるのが、自分にとっても他人にとっても良い雰囲気になるのではないでしょうか。

さらに欲を言えば、以前にも述べた様に人間はよく目的と手段を間違えてしまいます。挨拶をする事が目的ではないわけです。他人とのコミュニケーションを執る為の手段としての挨拶であるわけです。ですから、どうせするなら明るくした方が良いと思います。朝出勤時廊下で会う他の医局員や他の職員はこちらから声を掛けない限り挨拶をしません。又、同じ医局員でも下を向いて、会ったから仕様がないからするという暗い感じで、挨拶をする人間がいます。そういう人達にはもう一度考えて欲しいものです。挨拶はどうしてするのか、という事を。

 

 

 

▲TOPへ