ロールモデル集
大河原 浩 准教授 血液内科学講座

私は平成8年度に福島県立医科大学を卒業いたしました。大学卒業後は福島県立医科大学旧第一内科(循環器血液内科学講座)に入局いたしました。福島県立医科大学附属病院で1年間の臨床研修後、福島県内の大熊町の公立病院に1年間、本宮市の民間病院に2年間、内科医として勤務した後に福島県立医科大学循環器血液内科学講座に帰局いたしました。 研修期間中は、消化器内科、血液疾患を中心とした一般内科、循環器内科の研修をさせて頂きました。研修病院は地方の中堅病院のような存在でしたが、尊敬できる先輩先生方の下で、専門領域を問わず、様々な内科疾患の診断と治療を学ぶことができました。
様々な臨床研修をさせて頂いた中で、尊敬する先輩の影響もあり、一般内科と消化管内視鏡の検査と治療に興味を持ち、消化管内視鏡専門医を目指すことを決意いたしました。医局帰局後も県内の数カ所の民間病院で消化管内視鏡の検査と治療の研鑽を積むことができ、消化器内視鏡専門医を取得することができました。
大学帰局後は臨床の研鑽を積みながら、学位論文のテーマである動脈硬化と凝固線溶異常の研究を開始いたしました。動脈硬化と凝固線溶異常の研究を開始いたしました。臨床研鑽をしながらの研究はとても大変であり、実験は連日深夜まで及び、週末も実験をしなければなりませんでした。論文作成に当たっては、厳しくも理解ある上司や先輩、後輩に恵まれ、助けて頂きながら、6年がかりで医学博士を取得することができました。臨床研鑽を行いながら、研究を続けていくことは困難の連続でした。しかし、新しい発見に喜びを感じ、医学博士を取得した後も研究を続けたいと思うようになりました。その後、研究留学を決意し、米国シカゴのイリノイ大学薬学部にポスドク研究員として約2年間留学いたしました。留学は準備段階から渡米後もうまくいかないことばかりで、苦労の連続でした。しかし、協力的な上司や同世代のポスドク留学生との交流はとても充実したものになりました。留学生活は苦労が絶えませんでしたが、私の人生にとって、とても貴重なかけがえのない経験だったと思っています。 帰国後は福島県立医科大学循環器血液内科学講座に再帰局することができました。理解ある上司のお力添えもあり、再び、同医局で動脈硬化の研究を続けることができました。臨床面では研修医に戻って研鑽する覚悟で、血液内科専門医を目指すことといたしました。造血器腫瘍に対する最新の抗癌剤治療や造血幹細胞移植を学んでいくことは新鮮で興味深い反面、血液内科学の研鑽は予想以上に大変でした。当時30歳代後半であった私は、若いドクターと違って、スタートラインが出遅れていると感じ、焦りを感じていました。とにかく研修医に戻ったつもりで、謙虚な気持ちで、血液内科の後輩ドクターからでも学べることは吸収し、ひとつひとつの症例を大切にして、できるだけ丁寧に経験を積んでいこう思いました。血液疾患は、それぞれの症例ごとに病態が多彩だと感じました。ひとつひとつの症例にじっくり丁寧に取り組んでいくことによって、教科書や文献からだけでは学べないたくさんのことを吸収することができたと思っています。血液内科の研修を本格的に始めてから約4年で、理解ある先輩や同僚、後輩に恵まれたこともあって、血液専門医・指導医を無事取得することができました。
私は4年前に妻に先立たれ、精神的にとてもつらい時期がありました。子育てをしながらの医師としての仕事を続けていくことは想像を絶するほど大変でしたが、家族や理解ある上司や先輩に支えられ、医師として、研究者として、ここまで頑張っていくことができました。人生には予想外の出来事がたくさんあります。家族や理解ある仲間への感謝の気持ちを常に忘れずに、前を向いて、踏ん張って挑戦を続けていけば、必ず充実した人生を送っていけると思います。
令和4年度 ロールモデル集 ~福島県立医科大学の後輩へ伝えたいこと~
(所属・役職は執筆当時)
令和3年度 ロールモデル集 ~福島県立医科大学の後輩へ伝えたいこと~
(所属・役職は執筆当時)
令和2年度 ロールモデル集 ~福島県立医科大学の後輩へ伝えたいこと~
(所属・役職は執筆当時)