ロールモデル集
諸井 陽子 医療人育成・支援センター 助手

私は教育学部出身の教員です。医療職とは異なる視点で新しい教育手法の開発を中心に医学教育に携わっています。現在の主な業務は臨床技能手技トレーニング施設である「スキルラボ」の管理・運営で、教育面では主に医学部低学年の授業を担当しています。福島医大からステキな医療者が育ち、県内や日本のみならず世界の医療が発展することを願って日々励んでおります。プライベートでは、南会津に単身赴任中の夫と共に、小学3年生の娘を育てています。
ロールモデル紹介のお話をいただき、過去を振り返ってみますと、進路の転機となったのは「第1種放射線取扱主任者」という国家資格を耳にしたことかなと思います。当時、茨城県の核燃料を加工する施設で臨界事故が発生した後で、原子力や放射線に興味もあり、その資格を取得したことがきっかけとなり、本学の放射性同位元素研究施設(RI施設)で働けることとなりました。RI施設の管理業務を4年間実施した後に、現在の医療人育成・支援センターに異動して医学教育に携わっています。医学教育を学び始めてしばらくたった後、違う分野の学会に参加した際、知っている人が誰もいなくて心細かったというような話を当時の上司にしたところ「それはいいね。パイオニアになれるかも。」との言葉をいただきました。いわれてみれば確かにそうです。その世界に医学教育の風を吹かせるチャンスでした。今まで、どちらかというと受け身で、いただいた業務を行ってきたので大きなことは言えないのですが、きっかけはどこにでもあるものです。そのきっかけを「チャンス!」と思って行動してみてはいかがでしょうか。考えている事と違っていても、やってみると興味がわいたり、望んでいた方向に進むかもしれません。仕事も趣味も何事も楽しんでやった方が上手くいくような気がします。
研究を進めるうえでは、生活が大きく変わった育休明けと夫が単身赴任になった最初の年に、男女共同参画支援室の研究支援員制度を活用させていただきました。この制度で派遣いただいた研究支援員の方には、調査データの入力・集計・グラフ作成や文字起こし入力等をお願いしました。支援を受けることでセミナーへの参加や成果報告会での発表などの義務も生じますが、定期的に支援員の方に来ていただくことで、研究の進捗状況をマネジメントして計画的に進めることができとても助かりました。
最後にワークライフバランスについてお話しさせていただくと、子育て中の現在は基本的には定時に帰らせていただいており、朝は早めに出勤したり、お昼休みの時間を短くしたり、先述の研究支援員制度を活用したりして業務時間を確保しています。帰りが遅くなる際は延長保育を利用していますが、延長時間よりも遅くなる場合には早めに一度帰宅して娘を主人や実家に預けてから仕事に戻ったり、早朝出勤が必要な際は近所に住む主人の母にお願いしたりと色々な方に助けていただき何とか両立できています。小学校に入学してしばらくは毎晩家で娘の話を聞きたいと思い宿泊を伴う出張等を控える一方で、研究や論文執筆に力を入れました。上司や同僚の理解や協力もいただけ、遅い時間帯の業務を担当してもらったり、日中に休みをいただいて授業参観やPTA役員等の学校行事に参加できる事も仕事を続けられる要因だと思い感謝しています。子供の手が離れたら私もサポートする側に回って恩返しをしたいです。ライフイベントによっては、現場に出て作業する時間をどう頑張っても自分の思う通りにできないことが少なくありません。臨床・研究・教育等のそれぞれにどのように力を入れたらよいのか、一人で抱え込まずに周りの方に相談してみましょう。長いスパンで考えて着実に進めていくでよいのかなと個人的には思います。そして「何事にもチャレンジ!」です。最初の一歩を踏み出すのにはとても勇気がいりますが大丈夫。一生懸命頑張っている皆さんを応援してくれる方は想像以上に沢山います。周りの方とのつながりを大切に、信頼関係を築いていきましょう。皆さんと一緒に働けることを楽しみにしつつ、皆さんが目指す医療職になれるよう応援しています。
令和4年度 ロールモデル集 ~福島県立医科大学の後輩へ伝えたいこと~
(所属・役職は執筆当時)
令和3年度 ロールモデル集 ~福島県立医科大学の後輩へ伝えたいこと~
(所属・役職は執筆当時)
令和2年度 ロールモデル集 ~福島県立医科大学の後輩へ伝えたいこと~
(所属・役職は執筆当時)