熊の出没ニュースと画像診断の役割

 昨今、熊のニュースを見ない日はありません。そんな時、ふと思い出すのが平成29年7月の出来事です。当時、私は職場の運動施設で野球をしていました。その最中、ふと視線をやると、野球場から見える駐車場を、黒い物体がものすごい速さで移動するのを目撃したのです。それが熊であると認識するのに時間はかからず、すぐさま関係各所に連絡し、周囲を警戒するように進言しました。  後日出たネットニュースには、「野球をしていた同大の男性職員(39)が目撃した」との記述がありました。自分自身の事ながら、「その年齢の情報、いる?」とツッコミを入れつつも、事態の深刻さに戦慄し、強い衝撃を受けたことを今でも覚えています。

 熊の恐ろしさは、その破壊力にあります。秋田大学医学部附属病院のデータによると、熊に襲われた際のケガは顔面が90%、上肢が70%、頭部が60%と、上半身に集中するそうです。私も仕事柄、熊による外傷のX線画像を見たことがありますが、顔面の損傷は凄まじいものがありました。ここで重要になるのが、X線CT検査です。複雑に砕けてしまった骨でも、CTなら細かい断面で見たり、3D画像にしてあらゆる角度から確認したりすることができます。外傷の全貌を正確に捉え、的確な診断情報を現場に届けること。それが私たちの役割でもあります。

 もちろん、一番いいのは熊に遭わないことですが、不意の出会いは避けようがないこともあります。この騒がしい状況が、一日も早く落ち着くことを祈るばかりです。

 ※写真は当時の熊目撃写真です。

 

熊

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