コミュニケーションの大切さ

『ある細胞を刺激して細胞の状態が“A”から“B”に変わったとき、その細胞の隣にいて、何も刺激を加えられていない細胞も“A”から“B”の状態になる』という現象は、様々な研究において報告されています。その原因のひとつに「細胞間コミュニケーション」という考え方があり、最近の私の研究テーマのひとつにもなっています。

「コミュニケーション」といっても、当然ながら細胞同士が声を出して話し合ったり、電子メールでやりとりをしたりしているわけではありません。ある細胞が何かしらの情報を細胞外へ放出し、それを検知した別の細胞がその情報を受け取り、また新たな情報を細胞外へ放出する、このような細胞同士の情報交換の仕組みを「細胞間コミュニケーション」と表現します。このメカニズムに着目したがん研究はすでにいくつか進められており、新たながん治療戦略の開発につながることが期待されています。

「仕事においてコミュニケーションは信頼関係の構築や相手を説得するために重要である」、「コミュニケーションは双方向であるため、相手への伝達だけでなく相手からの情報をいかに正確に受け取るかという観点が重要である」など、コミュニケーションの重要性は様々な場面で耳にします。ヒトであれ細胞であれ、またその手段が会話であれ細胞外物質であれ、コミュニケーションというのはいついかなる場合でも大切なのだと、研究を通して再認識した次第です。

男女が会話をしているイラスト。吹き出しが二つあり、コミュニケーションの重要性を表現。

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