やるならとことん全力投球!
- 助教
- 原田 崇臣
- はらだ たかおみ
- 放射線治療技術学、粒子線治療
今からもう10年以上前、私が大学生の頃の話になります。大学生になって2ヶ月が過ぎた頃、そろそろアルバイトをしてみたいと思うようになりました。大学に入ってすぐに医学部バレー部に所属し、浪人生活2年間で衰えた体に鞭打っている最中でありましたので、できれば体をあまり動かさないバイトがいいなと思い、家庭教師(個別教室)のバイトをすることにしました。
その個別教室は私が高校3年生のときにお世話になっていた教室だったので、授業の流れは理解していました。また、浪人時代にかなりの時間を費やして受験に必要なスキルを身に着けたという自信がありましたので、人に教えるのは容易いことだと思っていました。しかし、いざ生徒の指導が始まると、「あれっ、これってどうしてこうなるんだっけ?」「なんでこうしなきゃいけないんだっけ?」ということが多々あり、自分ではわかっているつもりだったけれど、実は本質的には理解できていなかったこともあるんだと思い知らされました。
「これはそういうものだから」とか「そこはテストでは問われないから」などと理由をつけて触れないようにすることもできたと思います。しかし、生徒が十分に納得していない様子を見て、そんな対応ではダメだと思い、どうやったらうまく説明できるのか、どういう角度から説明すれば理解しやすいのかということを考えながら、浪人生時代に使用していたテキストを引っ張り出してきて再度勉強しました。また、指導時間が終わってから、そして時には自分の大学の定期試験の勉強中にも補足説明のプリントを作ったり、生徒からの質問事項の回答書を作ったりとできる範囲で色々やってみました。すると、生徒の納得した表情を見る機会が次第に増えていき、それとともにとてもやりがいを感じるようになりました。
最終的には、大学4年間と大学院2年間の計6年間で延べ100人近くの生徒に指導しましたが、定期テストの対策であろうと大学受験の対策であろうと、また相手が小学1年生であっても浪人生であっても、中途半端な教え方をすることなく、“とことん全力投球する”ことが大切だと実感しました。
医療現場において中途半端は決して良くありません。本学では目の前の患者さんに全力で向き合うことのできる診療放射線技師を育てていきたいと思います。また、学生だけでなく、自分自身も患者さんのためにとことん全力投球できる診療放射線技師でいられるよう精進したいと思います。
最後に、受験生の皆さん、全力でやってみてそれが不本意な結果に終わったとしても、トライしたことは決して無駄にはならないと思いますので、受験勉強においてもそれ以外のことにおいても、ぜひ“とことん全力投球”してみてください。
写真:家庭教師時代の“全力投球”の痕跡
