インクルーシブ教育と作業療法
- 教授
- 倉澤 茂樹
- くらさわ しげき
- 発達障害、特別支援教育、学校コンサルテーション
平成18年12月、国連総会において障害者権利条約が採択され、国際社会ではインクルーシブ教育の推進が図られるようになりました。インクルーシブ教育とは、障害の有無にかかわらず、誰一人取りこぼさない教育を目指す考え方です。人の多様性を尊重し、すべての人が共に学ぶことができる仕組みとして、学びの場や機会の保障、合理的配慮の提供が求められています。インクルーシブとは、単に時間や場を共にすることではなく、誰もが排除や区別を受けることなく、公正に学べる共生社会の実現を目指す概念です。
作業療法士は、「障害」を個人に内在するものではなく、個人と作業、さらに社会環境との相互作用のなかで生じる摩擦として捉える専門職です。そして作業療法士は、人・作業・環境に働きかけ、クライエントの参加を実現します。学校は病院ではなく、生活の場です。治療するのではなく、児童生徒が持っている強みを生かし、生きづらさにつながる弱みを合理的配慮によって軽減し、安寧に参加できる生活の実現を目指します。
令和8年4月に「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準等の一部を改正する内閣府令」が施行されました。これは、作業療法士など専門性の高い職種を「みなし保育士」として保育所などに配置可能にする取り組みです。つまり、作業療法士が保育所や認定こども園で働くことが可能となりました。児童生徒の多様化が進み、インクルーシブ教育が推進される現在、教育現場において作業療法士の知識や技能に対する期待は高まっています。本学では、時代の要請に対応できる作業療法士の育成に努めています。本学での学びが、皆さん自身の可能性を広げるとともに、誰かの「できる」を支える力へとつながることを願っています。