ふるさとの海
- 教授
- 林 博史
- はやし ひろし
- 臨床精神医学、老年精神医学、認知症
私は、この4月に山形大学から福島県立医科大学に異動となり、作業療法士の育成に深く関わるようになりました。入学や就職、あるいは職場を異動した際に、“出身はどちらですか?”と尋ねられる人は多いと思います。私も出身地を話すことが増えたためか、この頃、生まれ故郷を思い出すことが多くなりました。私のふるさとは、夏は涼しく、冬は東北の中では温暖で雪が少なく自然豊かなところです。田舎町で小学生の頃、眼の病気にかかった時は電車で片道50分かけて眼科を受診したこともありました。当時、不便は感じず、電車に乗って出かけるのが楽しみだったことを覚えています。自宅や学校から海が近く、私にとって海はとても身近な存在でした。中学時代、卓球部に所属していた私は、足腰を鍛えるためによく海に行き、海風を感じながら部活の仲間たちと砂浜を走り回りました。高校時代は、通学電車の車窓から見える青い海が、疲れた心を癒してくれました。大学入学後は帰省した際に大学の友人を実家に泊め、新鮮な海の幸を食べながらふるさと自慢をしたことが懐かしい思い出です。私の生まれ故郷は福島第一原子力発電所から10㎞圏内にある富岡町です。ふるさとを離れて40年近く経ちますが、疲れた時は今もふるさとの海が見たくなります。作業療法には、対象者の生い立ち、趣味、職歴などを加味しながら、その人の生活を様々な角度から支援する役割があります。私が作業療法を受けるとしたら、海をテーマにした作業を何か取り入れてもらえたらと思っています。写真は富岡町の海岸から見た日の出です(2007年1月3日撮影)。
