大気中マイクロプラスチックの実態解明に向けて

2021~2023年度に、環境省環境研究総合推進費(研究課題:大気中マイクロプラスチックの実態解明と健康影響評価、研究代表機関:早稲田大学)の一環で、福島駅前キャンパス屋上において、大気中のマイクロプラスチック濃度を測定するため大気エアロゾルと降雨の採取を行います。このプロジェクトは、①大気中マイクロプラスチックの分析法確立と実態解明、②大気中マイクロプラスチックの環境動態モデリング、③大気中マイクロプラスチックの呼吸器影響の解明の3つのテーマからなっています。私はテーマ①に参画しています。また、福島県内では、福島駅前キャンパス(都市域)のほか、福島県浪江町(森林域)を予定しています。
プラスチック生産量は1950年以降に急増し、その一部が海洋に流入し、海洋生態系の破壊が懸念されています。このため、持続可能な開発目標(SDGs)で海洋プラスチックが取り上げられ、プラスチック使用量削減のために2020年に国内でレジ袋が有料化されました。一方、大気中濃度の観測例は非常に少なく、都市域などにおける大気沈着量の報告例はあります(例えば、Allen et al., Nature Geoscience, 2019; Brahney et al., Science, 2020)。海洋で微細化したプラスチックが大気へ放出され、陸域への輸送量は年間14万トンとの推計もあり(Allen et al., PLOS ONE, 2020)、大気を介したマイクロプラスチックによる地球規模汚染の実態解明と健康影響評価は喫緊の課題です。
図は福島駅前キャンパス屋上。矢印は観測機材の設置場所。

福島駅前キャンパス屋上の観測機材設置場所を示す画像。木製デッキと周囲の建物が見える。

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