心不全って知っていますか?

みなさんは『心不全』という病気をご存じでしょうか?少子高齢化の進む日本で年間20万人以上の方が入院を要している病気です。日本循環器学会は、『心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気』と定義しました。やや専門的な表現では、『慢性の心筋障害により心臓のポンプ機能が低下し、末梢主要臓器の酸素需要量に見合うだけの血液量を絶対的にまた相対的に拍出できない状態であり、肺、体静脈系または両系に うっ血を来し日常生活に障害を生じた病態』となります。ある種の悪性腫瘍よりも生命予後は不良であり、4年生存率は約55%とされています。また、日常生活の質の低下、介護度の悪化などにつながりますので、ご本人はもちろんのこと、ご家族の負担にもつながります。しかし近年、おくすりやその他の様々な治療も進歩していますので、なるべく早期に発見し治療を開始することが重要です。一方、心不全は発症自体の予防が可能です。心不全の原因となりうる高血圧、糖尿病などの生活習慣病を管理し、禁煙や定期的な運動を継続し、心不全の発症を予防することがなによりも肝要です。

さて、心不全の診療にはチーム医療が必須です。診断には、息切れやむくみなどの代表的な症状や身体所見に加え、心電図、胸部X線、血液検査、心エコー図検査、CT、MRI、心臓カテーテル検査などの各種検査が必要であり、臨床検査技師や診療放射線技師などの“病気のサインを見つける”医療専門職の力が必要です。治療に際しては、くすりの専門家である薬剤師、心臓リハビリテーションに関わる理学療法士や作業療法士などの“運動機能回復や生活行為向上のスペシャリスト”の力が必要となります。家庭での生活維持に関する社会資源の有効活用に際して、管理栄養士、ソーシャルワーカーや介護士などの助けも必要です。そして、診断から治療、医療と生活をつなぎ包括的な管理を担う看護師の方は心不全におけるチーム診療のキーマンとなります。みなさんも専門医療職としてチーム医療の一員をめざしませんか。

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