遠隔医療について

医師の数は地域ごとに偏りがあります。東京のような大都会に比較して、東北地方では多くの市町村で医師が不足した状態です。治療を受けるために長時間かけて病院に通ったり、緊急時に受診できる医療機関が近くになかったりと、不便を感じている方も多いかもしれません。高齢化社会になって、ますます医療サービスを必要とする方が増える中、医師の養成には10年以上の時間がかかるため、急に増やすことはできません。そういった問題を解決するために生まれた技術が「遠隔医療」です。従来、医師は患者を直接、診察することなく治療したり診断書を書いてはいけないという法律(医師法20条)がありましたが、情報通信機器を使った「遠隔医療」なら行っても良いことになったのです。何時間もかけて通わなければならなかった都市部の病院の専門医からパソコンのカメラなどを通じて診察を受けることが可能になりました。最近では新型コロナウイルス感染症の問題もあり、電話診療も可能になっております。これには情報通信機器の開発や通信インフラの整備など、様々な技術の進歩が大きく関わっております。現在、遠隔医療は保健師や訪問看護師と病院の医師との連携による在宅診療や専門医同士のコンサルテーションなどで実際に運用されています。患者情報をインターネット回線に乗せてやり取りするために、情報セキュリティの問題など、厳しい情報管理が必要ですが、ネットを使って診察を受けると言う、20年前には夢のように思えた技術が実用化されるようになりました。表は平成13年に総務省が行った調査結果で、「将来、自宅で受けたい情報通信サービス」です。ビデオ・オンデマンドや行政サービスの予約、TV電話など2位以下の項目は今では当たり前のように利用できるサービスですが、1位の「画面を通じて医師への健康相談や診断」は遠隔医療の行われている一部でのみ可能です。今後もますます、新しい技術が開発されることが期待されます。

将来、自宅で受けたい情報通信サービスに関する調査結果のグラフ。遠隔医療への需要が高まっていることを示す。

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