菊地臣一 コラム「学長からの手紙  〜医師としてのマナー〜

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41.後ろ姿に表情を持て

前回は固い話をしたので、今回は少し柔らかい話をしたいと思います。「後ろ姿に表情を持て、後ろ姿に表情のない人間は駄目である」という事がよく言われます。立原正秋が「女性で後ろ姿に表情のない人間は、女性として魅力がない」という事を随筆の中で書いています。私はその言葉を良い言葉だなと思って、今まで大事にしてきました。

私が東京の病院にいた時によく看護婦さん達と手術の後、飲みに行って語り合いました。その時の話題の一つに「どんな男性のどんな時に魅力を感じるか」という話題になった時に、全員が「夜中にDr.が手術場を全力を使い切って出て来た時、患者を迎えに行ってその後ろ姿を見た時に背中に魅力を感じる」と言っていました。

やはりプロはプロの良さを知るというのでしょう。看護婦さんがDr.の何に魅力を感じるかは、姿形ではなかったのです。疲れ切ってでも、なお病室に向おうとして歩いているDr.の後ろ姿だったのです。懸命に努力している人間には、自ずとその後ろ姿に表情が出来る様に思います。どうぞ医局員諸君!女性にもてたかったら、ひたむきに努力して、一所懸命働いてみては如何ですか。

 

 

 

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