各診療グループの紹介
小児の一般疾患はもちろんのこと、新生児・未熟児、神経、感染症、循環、血液、悪性腫瘍、腎臓、膠原病、アレルギー、内分泌と、幅広く取り組んでいます。同時に各小児専門医が『疾患だけをみる』ことのないよう、患者である小児を一番に考え、一人の人間として全人的にみることを心がけ、小児疾患の診断治療、健康管理を行っています。

外来診療担当については、
附属病院ホームページをご参照ください。


A. 新生児グループ
臨床の概要:未熟児・病的新生児の集中治療を担当しています。附属病院総合周産期母子医療センター新生児部門として運営されており、「新生児特定集中治療室管理加算病床」(NICU)15床と専用後方病床(GCU)12床を有しています。福島県総合周産期医療システムの中核として、地域周産期母子医療センター(4施設)や周産期医療協力施設(6施設)と連携しながら高度な周産期医療の提供、周産期医療情報の解析・提示、周産期医療従事者の教育・研修などを行っています。異常妊娠・分娩の占める割合が多いため、患者の疾病の種類も多岐に渡っています。収容児の大半が超低出生体重児、先天性心疾患、母体が重篤な合併症を持つ児になっています。センター開設以来の新生児死亡率は、出生体重1000g未満の児で10.0%、1000g以上1500g未満の児で2.1%になっています。2006年9月現在のスタッフ数は医師4名、看護スタッフ33名で、スタッフ医師(助手または診療医)ならびに臨床心理士を募集しております。興味のある方のご連絡をお待ちしております。
研修の概要:仮死の蘇生法,入院児の診断・処置・治療法を修得するとともに変化し易い児の病態を早期かつ的確に把握する知識を養います。カンファランスとしては,症例検討を連日,産科との周産期情報交換を週1回行うことにより,質の高い医療を目指しています。 福島県周産期医療研修会、福島県周産期セミナー、新生児医療連絡会など、周産期医療に関する研究会も多数開催・後援しています。
研究の概要:母児間免疫寛容に関する研究,肝炎ウイルス母児感染,グルココルチコイド受容体に関する研究,慢性肺疾患の発症要因に関する研究など


B. 循環器グループ
臨床の概要:先天性心疾患を中心に、小児の循環器疾患の診断治療を担当しています.外来は、週3回の心臓外来に加えて、県内の主要病院にて月1~4回の心臓外来を行っています。主な検査件数は、超音波診断が年1500件、心臓カテーテル検査が年100件です.治療については、手術前後の内科的治療に加えて、カテーテルを用いた治療を行っており、バルーンカテーテルによる血管拡大術や弁形成術、金属製のコイルによる血管や動脈管の閉塞が主な内容です.手術も新生児の大血管転位症や総肺静脈還流異常などを含め、多くの手術を行っています。
研修の概要:初期研修として循環器の基礎知識を学ぶとともに超音波診断、心臓カテーテル検査の手技について学びます.後期研修としては、胎児超音波検査など、より進んだ知識の取得を目指します.平成20年より日本小児循環器学会修練施設に認定され、小児循環器専門医取得のための修練を行うことができます。
研究の概要:母体環境変化に伴う胎児心血行動態の研究。川崎病ガンマグロブリン不応に関与するサイトカインに関する研究など。



C. 感染症・神経グループ
臨床の概要:感染症、神経疾患を中心に外来、入院治療を行っています
研修の概要:感染症の疫学と病態を理解し、その診断と治療が適切に行えることを目指します。また、神経疾患については、筋疾患を含めて、各年齢に応じた神経学的診断法、必要な検査法を身につけ、的確な診断と適切な処置ができることを目指します。
研究の概要:難治性遅発性ウイルス感染症である亜急性硬化性全脳炎(SSPE)に対し、リバビリン脳室内投与療法を確立し、良好な治療成績を得ています。現在、国内・国外において研究的治療が試みられています。インフルエンザなどのウイルス感染症に伴う急性脳炎の病態は正確には解明されていません。我々は、脳症充症例において、血管内の炎症とともに、血管内のアポトーシスが重要な役割を果たすことを明らかにしました。アポトーシスのマーカーである血液中チトクロームCが予後と相関することから、重症化が予測される症例に対しては、低体温療法やアポトーシス抑制療法を検討しています。熱性痙攣、痙攣重積といった中枢神経症状の本態、誘発因子はいまだ不明です。私たちは、熱性痙攣、痙攣重積や一過性意識障害を示した患児の髄液中に比較的高い頻度でエンテロウイルスの遺伝子を証明しました。今後、未だ不明の熱性痙攣などの中枢神経症状とウイルスの中枢神経感染症との関係を明らかにするために、神経系に親和性の高い各種のウイルスに対するPCR法を確立して応用することを目指しています。


D. 血液・悪性腫瘍グループ(小児腫瘍内科
臨床の概要:扱う疾患は、各種貧血、血小板減少症、免疫不全症等の血液疾患と全ての小児悪性腫瘍(白血病、各種固形腫瘍)です。外来は血液・腫瘍クリニックが週2回で、約300名の患者をフォローし、入院は常時約20名です。難治例に対しては、各種幹細胞移植術(自家末梢血、自家骨髄、同種末梢血、同種骨髄血、同種臍帯血、CD34細胞など)を積極的に施行しており、年間10~15例の移植があります。
研修の概要:日本血液学会研修認定施設(指導医1名)、骨髄移植推進財団移植認定施設となっています。血液疾患、白血病、各種固形腫瘍に対する診断、治療に関する研修が受けられ、症例検討として外科、整形外科、放射線科、病理部、小児科からなるPediatric Tumor Board(月1回)、血液細胞カンファランス(週1回)、臨床症例カンファランス(毎日)が行われています。国内関連学会としては、日本血液学会、日本小児血液学会、日本小児がん学会、日本造血細胞移植学会、日本臨床血液学会があり、その他、院内・外において血液・腫瘍・移植に関する研究会が開催されています。
研究の概要:小児癌・白血病研究グループ(CCLSG)によるグループ研究に参加し、各種の小児癌と白血病の病態解明と治療法の確立を目指した臨床研究を行っています。また、再発例・進行例など難治性癌の治療法として、各種、細胞移植術に取り組んでおり、至適前処理法の開発、移植後の造血回復、微小残存病変と再発などに関する研究を行っています。この他に、小児期骨肉腫の患肢温存と生存率向上のための術前術後化学療法の開発やLアスパラギナーゼ投与と血中・骨髄中アミノ酸濃度の検討、小児癌患者と家族の支援に関する研究に取り組んでいます。


E. 腎・内分泌・アレルギーグループ
臨床の概要:腎疾患を中心に、外来診療および入院加療を行っています。特に入院加療に関しては、本院にベッドスクール(須賀川養護学校福島医大分校)が併設されているため、学童期の入院に際しては、勉学面の心配をせずに治療を行えるメリットがあります。腎生検は全て医局内でスタッフ自らが処理し、迅速に結果を出し治療に反映させています。治療に関しては、LDLアフェレーシスをはじめとした各種血漿交換や、腹膜透析や血液透析などを適宜施行していますが、透析関係や尿路奇形、成人期へのキャリオーバーなど、泌尿器科、腎臓内科(第3内科)との連携も重要と考え、3科合同の研究会(福島ネフロロジー研究会)を開き、臨床例の検討を中心により緊密に交流を持っています。また、小児糖尿病やホルモン分泌異常症などの内分泌代謝疾患、小児喘息や食物アレルギーなどの各種アレルギー疾患に関しても専門外来で、診察、治療に当たっています。
研修の概要:初期研修として、腎臓病学の基礎的知識を学び、腎不全時の対応や基本的な腎臓病理を修得します。後期研修としては、当大学基礎講座での腎に関した基礎的実験や国内留学を始めとした研修も含め、より専門的な知識と基礎的研究手技の修得をめざします。
研究の概要:当教室のメインテーマである、腎疾患におけるウイルスの関与を検索中です。感冒罹患時に一時的に慢性腎疾患やネフローゼ症候群患児の尿所見が悪化するのはよく経験することですが、このような観点から、腎疾患の発症、進展増悪に対するウイルスの関与を臨床面、基礎的な面から検索しています。さらに、各種サイトカインや接着分子などの腎疾患への関与、細胞内情報伝達系との関連性、漢方方剤の有効性など、多方面からの検索を進めています。