生体内の分子を画像化する
- 助教
- 山尾 天翔
- やまお てんしょう
- 画像解析学、分子イメージング技術学、核医学、磁気共鳴医学
診療放射線技師が携わる画像検査は、マクロな解剖学的構造を可視化するだけではなく、細胞レベルのミクロな世界を生きたまま可視化することもできます。がん細胞は正常細胞と異なる代謝経路を持ち、多量のブドウ糖を取り込む性質があります。腫瘍の悪性度が高いほど、取り込み量が増大する傾向があります。また、認知症の代表的な原因疾患であるアルツハイマー病は、記憶障害などの認知機能障害が起こる20年以上前から、脳内に異常なタンパク質が沈着します。つまり、症状が現れる前から、脳内では病気が進んでいます。脳内の異常タンパク質を検出することで、認知症の早期発見が期待されます。生体内の分子の挙動を可視化する技術(分子イメージング)により、構造だけではわからない生理学的な機能や病理学的な変化を画像として得ることが可能となります。大学では、これらの放射線技術の持つ魅力を伝えていきたいと思っています。
写真 米国核医学・分子イメージング学会の風景
