見えない基盤
- 講師
- 広藤 喜章
- ひろふじ よしあき
- 医療情報学、医療放射線防護学、放射線健康リスク科学、セキュリティ科学
医療現場では、診療や治療に必要な多様な情報が日々生まれ、活用されています。その中核を担うのが「医療情報システム」です。電子カルテを中心に、患者さんの基本情報、診療記録、検査結果、治療経過などを一元的に管理し、必要な情報をいつでも素早く参照できる仕組みを築き上げます。これにより、医療の安全性と効率性が飛躍的に高まり、医療スタッフ間の円滑な連携にも欠かせない存在となっています。
その中でも欠かすことのできない分野の一つが「医療画像」です。CT、MRI、X線画像などは、病気の診断や治療方針の決定に不可欠であり、医療情報システムを通じて関係する医療スタッフに瞬時に共有されます。これにより、他の診療科や遠隔地の専門医でも画像を確認し、適切な診断や治療方針を迅速に共有・決定できます。
私はこの分野の中でも、医療画像の管理・セキュリティや、線量管理システムとの連携について研究しています。膨大な画像データを安全かつ効率的に保存・検索する仕組み、病院間で安全に画像を共有する方法、インターネットを活用した遠隔医療など、日常から緊急時まで幅広く対応できる方法を探求しています。これらの研究は、遠隔地でも質の高い医療を受けられる環境づくりや、医療資源の有効活用に直結しています。
本学には、他大学ではほとんど見られない、実際の医療施設と同等の設備を備えた教育用医療情報システムが完備されています。電子カルテやX線機器と連動した画像保存システム(PACS)や画像ビューワを用いて、在学中から病院と同じ環境で操作や運用を学びます。この経験は、卒業後すぐに現場で活躍できる実践的な力につながります。
医療の「見えない基盤」を築き、診断の質向上と患者さんの安心を支えるのが私たちの仕事です。この分野で、技術と人の力を融合させ、未来の医療を切り拓く皆さんと学べることを楽しみにしています。
