見えない苦しみに、想像力のレンズを
- 教授
- 長谷川 功紀
- はせがわ こうき
- 放射性薬剤学、組織化学、タンパク質科学、放射線科学
この頃、太陽の光を妙にまぶしく感じたり、視力が落ちてきたりしたので、眼科を受診しました。検査の結果、驚いたことに「白内障」との診断を受けました。白内障ですが、いわゆる若白髪のようなもので、自分が想像しているよりも若い年齢で発症する人も少なくないそうです。根本的な治療法は今のところなく、ひとまずは経過観察となりました。
ただ、まぶしさを和らげるため、レンズに薄く色を入れた眼鏡(カラーレンズ)に買い替えることにしました。すると、ある変化に気がつきました。街を歩くと、眼鏡に色がついている人が案外たくさんいるのです。逆に言えば、自分がカラーレンズをかけるようになるまでは、他人のレンズの色なんてこれっぽっちも気にしたことがありませんでした。今回の経験は、当事者にならないと見えない景色、気が付かないことがあることを教えてくれました。
医療従事者として、患者に寄り添い、課題を敏感に察知することは不可欠です。しかし、すべての病を自分自身が経験できるわけではありません。だからこそ、今回の「カラーレンズ」の気づきを忘れずに、患者が抱える「他人が気づきにくい苦しみや不自由さ」に対して、どこまで我々が想像力を働かせ、課題を見出して、寄り添っていけるのかが大切なのだと痛感しました。