小児腫瘍部門

病院教授 小児腫瘍部門長 菊田 敦 小児腫瘍グループのメンバーです

小児腫瘍部門とは

 平成20年6月より、臨床腫瘍センター内の新しい部門として、小児腫瘍部門が開設されました。部門長は菊田敦です。小児腫瘍の専門部門として、これまで以上に幅広く、福島県内外の小児がん患者さんとご家族のために、より良い治療を提供することが目標です。

 私たちが対象としている小児がんの種類と頻度を図に示しました。ここに示した全てのがん種が私たちの守備範囲であり、年齢的には0~20歳位までですが、20歳以上でも小児タイプのがんであれば治療を行っています。


 

成人のがんとの違い

 福島県内では年間約30数例の小児がん患者が発生していると考えられますが、小児がんが診断が難しく、治療法も高度な技術と判断が必要であるため、大部分の患者さんは当院で集中的に治療が行われています。成人がんの治療の主体は手術であり、化学療法や放射線治療は補助的に行われるのが一般的です。

 一方、小児がんは進行が速く、発見時にその7割以上が遠隔転移を起こしており、手術で完全切除したとしても完治する症例はごく一部です。しかし、化学療法が非常に有効であり、固形がんに対しても積極的に多剤併用による強力な化学療法が行われ、放射線も必要により併用されます。さらに強力な化学療法を行う目的で造血幹細胞移植を行う場合にもあります。これら4つの治療法をタイミングよく行うことが小児がんを治癒に導くポイントとなります。

治療の実際

 当科では福島県内のほぼ全ての小児がん症例の治療を行っています。小児がんが疑われた段階での受診、御紹介に始まり、小児外科、各臓器外科(脳神経外科、整形外科、眼科、耳鼻科など)放射線科、臨床検査部、病理部との連携によって迅速に診断をつけ、最適な治療方針を決定していくことができます。

★ 初めて小児がんと診断された患者さんには、標準治療、あるいは、より良い成績を目指して全国研究として行われている小児がん治療のための臨床試験に参加して治療を行っています。また、現在臨床試験が終了している小児がんに対しても最善の治療を行っています。

(実施中の臨床研究はこちらをご覧ください。 PDF)

★ 治療後の再発に対しても患者さんそれぞれに適した治療選択肢を考慮しながら、様々な治療提供を行っています。特に、平成22年より難治例を対象にHLA半合致造血細胞移植の臨床試験を開始し、県内のみならず全国から他の病院で治療が困難といわれた患者さんを数多く受け入れているのが特徴です。再発患者さんでも、HLA半合致移植により長期に生存される方も稀ではありません。患者さんの今後の治療方針決定の参考にセカンドオピニオン外来も開いています。

 (当院でのセカンドオピニオンを希望されるかたはこちら LINK)

★  さらに、小児がん治療のためのさまざまな新薬を日本でも早く使用できるようにするための治験にも積極的に参加しており、より有効な可能性のある薬をいち早く使用することも可能です。

(現在実施中の小児がん関連の治験はこちら  LINK )

(治験とは?   LINK 治験センター)

★ 治療の初期から、全治療期間を通じて、必要な時には緩和ケアチームがサポートを行っています。緩和ケアは病気による患者さんとご家族の身体的、精神的、社会的な痛みやつらさを和らげ、治療をサポートする医療です。

(詳しくはこちら PDF)

(緩和ケア部門 LINK)

小児がん診療の社会的支援

 医療連携・相談室では福島県立医科大学病院で治療されている小児がんの患者さんに対して様々な支援を行っています。
以下のようなことでお困りの場合など、どうぞお気軽にご相談ください。
1.治療の費用は?           ・・・小児慢性特定疾患医療費助成制度
2.家が遠いのですが           ・・・宿泊・滞在施設(パンダハウス)
3.学校はどうすればいいですか?   ・・・教育の継続(須賀川養護学校医大分校)   
4.困ったときには?
        ・・・小児がん治療をサポートする専門家
         ・・・患者会や患者支援団体 

長期フォローアップ

 小児がんは治るがんの一つですが、治った後も多くの後遺症があることが解ってきました。この中には発育障害、内分泌障害、神経認知障害、身体的障害、PTSD、2次がん、生活習慣病の早期発現など、社会生活を行っていくうえで重大な問題が含まれています。さらには、妊娠・出産など子孫への影響も解ってきており、これらの障害の予防とフォローが大きな課題となりつつあります。
 長期フォローアップ外来は毎週火、木に行っており、予約が必要です。

 
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