国際医学誌「Journal of Radiation Research」掲載(2024年12月16日)
Difficulties faced by three hospitals evacuated from the urgent protective action planning zone after the 2011 Fukushima Daiichi Nuclear power plant accident
福島第一原子力発電所事故後、20-30km圏内から避難した3病院が直面した困難

野中 沙織(のなか・さおり)
放射線健康管理学講座 大学院博士課程
研究グループ
野中沙織、澤野豊明、及川友好、村上道夫、尾崎章彦、趙天辰、吉田誠、山本知佳、坪倉正治
概要
論文掲載雑誌:「Journal of Radiation Research」(2024年12月16日)
2011年の東日本大震災において、福島第一原子力発電所から20〜30kmに位置した病院が行った大規模避難時におこった困難についてインタビューを行いました。
発災直後の患者の増加、震災初期の患者の転院調整、スタッフや物資の減少、インフラの損傷と物流の停止、このエリアにおける病院避難の判断基準が存在しなかったため、病院の機能維持は困難を極めました。
放射線災害時には、災害弱者である患者と医療スタッフの安全を確保し、病院機能を維持するために、事前の防災・避難計画、資源の確保、スタッフを支え続ける戦略が必要となります
普段からのカルテ記録を活用した医療情報の引き継ぎ、政府の避難への介入、安定した状態の患者の早期退院によって全体の患者数を減らすことは、現場の負担を減らし、避難が円滑に進むことを助ける可能性があります
東日本大震災時にこのエリアで起こった困難は、災害弱者のために病院機能を維持することの重要性を強調し、地域全体の包括的な防災計画の必要性を浮き彫りにしました(野中 沙織)
連絡先
- 公立大学法人福島県立医科大学 医学部 放射線健康管理学講座
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