米国誌「Scientific Report」掲載( 令和6年2月5日)
Categorization of disaster-related deaths in Minamisoma city after the Fukushima nuclear disaster using clustering analysis
クラスタリング分析による福島原発事故後の南相馬市における災害関連死の分類
吉村 弘記(よしむら・ひろき)
医学部 放射線健康管理学講座 講座等研究員
概要
論文掲載雑誌:「Scientific Report」 (令和6年2月5日)
災害が発生すると、被災者は長期的な影響を受けることになります。特に医療環境は大きな影響を受け、それに対し適切な対策をとる必要があります。災害関連死はそうした災害時医療の重要な問題の一つであり、長期間の避難生活やストレス、疲労、持病の悪化などが原因となることが知られています。これまでの研究では、高齢者や要介護者に影響が大きいことが報告されていますが、放射線災害後の災害関連死については未だに詳細な分析はなされておらず、災害関連死の特徴を理解するためにも新たなアプローチを用いた調査が行われる必要があります。本研究では、放射線災害による災害関連死を分類するための調査を実施しました。福島第一原子力発電所事故当時、福島県南相馬市に居住し、災害関連死と認定された計520人を対象として、震災時に自宅にいた人と、震災時に病院や施設にいた人に分け、2群の階層クラスター分析を行いました。震災関連死は、震災時に自宅にいた人では7つのグループに、病院や施設にいた人では5つのグループに分けることができました。「障害者群」「介護群」「うつ病群」など、群ごとに異なる特徴が見られ、画一的な震災後支援だけでなく、それぞれの特性に応じた支援が必要であることが明らかになりました。
(吉村 弘記)
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