英国科学誌「Scientific Reports」掲載(令和4年11月17日オンライン)

Humoral immunity after second dose of BNT162b2 vaccine in Japanese communities: an observational cross‐sectional study, Fukushima Vaccination Community Survey

BNT162b2新型コロナワクチン2回目接種後の液性免疫の評価:観察横断研究、福島県ワクチン住民調査

医療研究に従事する女性のポートレート写真。

小橋 友理江(こばし・ゆりえ)

医学部 放射線健康管理学講座 大学院生

研究グループ

小橋友理江、島津勇三、趙天辰、瀧田盛仁、山本知佳、坪倉正治 (福島県立医大、放射線健康管理学講座)川村猛、金子雄大、杉山暁、中山綾、金子雄大、児玉龍彦(東京大学)西川佳孝、小俣文弥(ひらた中央病院)新道 譲二(しんどうクリニック)及川 友好(南相馬市立総合病院)渋谷 健司(東京財団政策研究所)

概要

論文掲載雑誌:「Scientific Reports」 (令和4年11月17日オンライン)

この研究の目的は、福島におけるBNT162b2新型コロナワクチン(ファイザー)2回接種後の、液性免疫の衰退を明らかにし、抗体価の減衰に影響を与える要因を明らかにすることである。SARS-CoV-2スパイク(S1)蛋白に対するIgG抗体(IgG(S))と中和活性を、大規模な地域ベースの住民と医療者の集団で調べた。

BNT162b2の2回目のワクチン接種を受けており,COVID-19に過去に感染していなかった方が対象者に含まれた。性別,年齢,ワクチンの副反応,病歴などについて質問紙調査が行われた。

2496名の対象者のうち、高齢者においては2回目のワクチン接種後90~120日で抗体価が減衰することが分かった。中和活性も年齢とともに減少し、80歳以上においては35名(13.3%)がカットオフ値以下の中和活性を有していた。2回目接種から179日目以降の中和活性は,2回目接種から60日目未満の中和活性と比較して11.6%の割合であった。IgG(S)抗体価および中和活性の有意な低さは、年齢、男性である事、2回目接種からの日数が経過している事、喫煙,ステロイド内服,免疫抑制の使用,既往歴などとの関連性が認められた。

抗体価は経時的に大きく減少した。感染しやすい集団である,高齢者,男性,喫煙者,ステロイド使用者,免疫抑制剤使用者,3つ以上の病気を持つ方は特別な感染防御の対策が必要かもしれない。

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