英国科学誌「eLife」掲載(2021年4月19日)
Evolutionarily conserved sperm factors, DCST1 and DCST2, are required for gamete fusion.
進化的に保存された分子DCST1/2は配偶子融合に必須である

井上 直和(いのうえ・なおかず)
医学部 細胞科学研究部門 准教授
研究グループ
井上直和(細胞科学研究部門・准教授)、萩原義久(産業技術総合研究所バイオメディカル研究部門・副研究部門長)、和田郁夫(細胞科学研究部門・主任教授)
概要
論文掲載雑誌:「eLife」 (2021年4月19日)
哺乳類の受精は、精子側のIZUMO1が、卵子側のIZUMO1受容体JUNOを特異的に認識することで成立します。細胞周期やアポトーシス、オートファジーなどの生命活動の基礎的な代謝に機能する分子群の多くは、種を超えて共通に存在することが知られています。しかし、上記のIZUMO1-JUNOシステムを含め、これまで受精において無脊椎動物と脊椎動物に共通する分子は明らかにされていませんでした。
今回の研究では、ハエや線虫にも受精必須因子として存在するDCST1/2をマウスで同定することに成功しました。つまり、DCST1/2欠損マウスは、ハエや線虫と同様に配偶子融合不全が原因で完全な雄性不妊になります。さらに今回の研究では、DCST1/2やIZUMO1が、SPACA6と呼ばれる別の受精必須因子のタンパク質の安定性を制御することも分かりました。10億年に渡って保存されてきたDCST1/2分子が機能する詳細な分子メカニズムの解析を通して、今後の受精研究が大きく前進するものと考えられます。
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