スイス科学誌「International Journal of Environmental Research and Public Health」掲載(平成30年7月)

Association between Health Literacy and Radiation Anxiety among Residents after a Nuclear Accident: Comparison between Evacuated and Non-Evacuated Areas.

原子力災害後の地域住民のヘルスリテラシーと放射線健康不安の関係について:避難区域と非避難区域の比較

黒いジャケットを着た男性が微笑んでいるポートレート。背景は淡い色合いの壁。

黒田 佑次郎(くろだ・ゆうじろう)

医学部 公衆衛生学講座 学内講師

研究グループ

黒田 佑次郎、岩佐 一、大類 真嗣、森山 信彰、中山 千尋、安村 誠司

概要

福島第一原発事故にともない、避難住民だけでなく避難をしなかった住民においても放射線健康不安が高くなり、一部では、このために心身の不調が持続しています。本研究では、原子力災害後の地域住民の放射線健康不安の実態について、避難区域と非避難区域で比較検討するとともに、ヘルスリテラシー(健康や医療に関する情報を入手し、理解し、評価し、活用する力)の分析を加えることにより、放射線健康不安とヘルスリテラシーとの関係を明らかにすることです。

福島県の浜通り・中通り・会津、そして避難区域の住民500名ずつ、計2000名を無作為に抽出し、2016年8月から9月に郵送法による調査を行いました。その結果、「放射線健康不安」にはヘルスリテラシーが、避難区域・非避難区域ともに有意傾向でした。また「放射線による差別・偏見」にも、避難区域においてヘルスリテラシーが有意傾向でした。放射線の健康影響に関する情報過多のなか、情報を選び取る能力であるヘルスリテラシーが高いことが不安を軽減したと考えられます。そのため、ヘルスリテラシーを高めることが、放射線健康不安対策の一助となることが考えられました。

連絡先

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