10年前の挑戦
- 准教授
- 藤田 貴昭
- ふじた たかあき
- 脳卒中リハビリテーション、運動機能回復、上肢機能、日常生活活動、予後予測法の開発
約10年前、私は博士課程の大学院生として群馬大学大学院に入学しました。仕事と家庭を抱えながらの進学であり、社会人大学院生としての生活は決して平たんなものではありませんでした。それでも、研究者として成長したいという思いが強く、限られた時間を最大限に活かしながら、学びと研究に真摯に向き合う日々を過ごしました。
博士課程修了の要件は、研究成果をまとめた論文が権威ある国際誌に受理されることでした。私は日々温めてきた研究成果を作業療法領域のトップジャーナルに投稿しました。査読結果は好意的で、掲載に向けて順調に進むかに思われました。
しかし、論文投稿システムの不具合という予期せぬ問題が発生し、手続きが完全に滞ってしまいました。状況を打開するためには、慣れない英語で編集部と直接メールをやり取りする必要がありました。さらに、相手はアメリカのジャーナルであったため、時差の影響でメールの往復は1日1回が限界でした。研究を一刻も早く前に進めたい私は、夜中の2時に起きて返信を待ち、届いたメールに即座に対応するという日々を続けました。
今振り返ると、あの頃の緊張感や焦り、そして粘り強く取り組んだ時間のすべてが、現在の教育・研究活動を支える大きな礎となっています。困難を乗り越えながら研究に向き合った経験は、研究者としての姿勢を形づくった原点でもあります。