2013年3月9日

《見学》 Jヴィレッジ訪問

講師:東京電力職員

福島第一原発収束作業に関する説明を行う作業員と見学者たちの様子。

福島第一原発収束作業にあたる作業員の中継拠点であるJヴィレッジを訪問し、同医療班による説明、案内によりJヴィレッジに設置されている医療施設と作業員の汚染検査、防護装備の提供の状況を見学した

感想等(抜粋)

施設内のものものしい雰囲気から事故以来、原発内での作業、警戒区域内の除染作業の拠点となっていたことを肌で感じた。ごく一部の方しか見かけていないが若い方から年配の方まで作業されていた。全国各地から来られて、慣れない環境、制限された生活、特殊な作業でストレスは大きいと感じる。メンタル的なサポートの必要性を感じた。

《講義》 震災時の消防活動

講師:金澤 文男(双葉地方広域市町村圏組合消防本部)

震災直後から震災対応にあたった消防職員による講義。警戒区域内の消防活動について放射線防護装備、被ばく量管理の実態等の紹介と今後の問題点について考察された。

福島県立医科大学の会議室で、講演を行う男性二人と参加者の様子。
福島県立医科大学の教室で、講師が参加者に向けて話している様子。参加者はテーブルに座り、講義を聴いている。

感想等(抜粋)

双葉地方広域消防本部で説明を受けた。震災時の消防隊の活動状況が如何に大変なものであったか理解できた。傷病者の搬送は放射性物質の汚染によってままならない状況があった。原発の消火作業、注水作業に至っては防護服を装備して作業可能な3時間の作業時間の大半が移動時間に費やされたというもどかしさも理解できた。その後のご遺体の捜索除染などストレスは想像以上と思われた。メンタルサポートが必要であったこともそうした状況を説明している。

《視察》 被災地視察(楢葉町)

講師:金澤 文男(双葉地方広域市町村圏組合消防本部)

双葉消防の協力の下、警戒区域から解除された楢葉町内を見学。津波被災地の状況、火災早期感知のためのビデオモニタリングシステム、警戒区域の警備状況、復興し始めた各種施設(温泉施設等)、治安管理の問題点等を解説していただいた。

福島県立医科大学の見学者たちが、道路脇で何かを観察している様子。
福島県立医科大学近くの工事現場の風景。黒い資材が整然と並び、遠くには高架橋が見える。

感想等(抜粋)

楢葉町は昼は住民の帰宅が許可されているが、帰ってきている人は少なく、異様な雰囲気だった。放射線による災害というものが、町があるのに壊してしまう怖さをを感じた。津波に合った浜辺で、急ピッチで進む火力発電所の建設。人が生きていくためには、本当にどこまで必要なのか、反原発をただ勢いだけで叫ぶのではなく、この災害を忘れずに一人一人が考えていかなければ変わらないと思った。

《演習》 リスクコミニュケーション

講師:熊谷 敦史・安井 清孝

模擬患者による住民健康相談の体験学習。放射線不安と不眠・不安の2例に対し、福島県外からの診療放射線技師と医師のペアで対応していただいた。そのほかの受講生は別室で問診・会話状況をモニターし、実演後に受講者全員で症例対応に関するフィードバックを行った。

講義中の教室で、プレゼンテーションを行う講師と受講者たちの様子。
福島県立医科大学の教室で、マスクを着用した3人の学生がテーブルを囲んで話し合っている様子。

感想等(抜粋)

相談者役の方の演技がとても上手でリアルな演習をすることができた。私も途中から相談に加わったが、はじめに相談を受けていた方がとてもソフトな対応をして下さっていたため、スムーズに相談に加わることができたと思う。まずは相談者の話を聞いて共感すること、そして内容を整理していくことが重要ではないかと思った。以前に傾聴ボランティアの講習を受けたことがあるが、役立てていかなければと思った。

《講義》 福島原発事故の人文社会科学的側面

講師:藤野 美都子・福田 俊章(人間科学講座)

原発に依存してきた福島の歴史から、福島の今(避難区域再編、人口減少、避難生活者の健康問題、人々の分断等)や事故責任の問題に関する考察、災害によって住民避難をした経験をもつ三宅島との相違等、法律学、倫理学的視点から福島を見つめる講義

講義を行う女性と聴講者がいる教室の風景。ホワイトボードには文字が書かれている。
福島県立医科大学で講義を行う男性の教授が、黒板の前で話している様子。

感想等(抜粋)

原発事故は単に放射線の問題ではなく、社会的な種々の要素が複雑に関与していることを改めて感じた。この事故を他人事と捕らえたりしては日本の将来は良くならないとも感じ、一人ひとりが社会に対する責任を果たすことを考えるべき時期に来ているのではないかと感じた。また、No more Fukushima と聞いて福島を全て否定されたような感情を持ったというお話しには考えさせられた(安易に使用しない様にしたい)。高所恐怖症があるのなら放射線が怖い人もいるのではないか、という意見もあり様々な考えの人への対応の難しさも感じたが、医療従事者としては住民に正確なデータを提供していくことが大切だと思った。

《修了式》

修了証書授与:大津留 晶(放射線災害医療センター長)

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