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保健医療交流事業 (講演会) レポート

心臓病にかからないためにあなたが自分でできること

三春町・令和5年9月28日(木)

講演の様子1
講演の様子2

講演会は、令和5年9月28日(木)10時30分から、三春町にある三春交流館「まほら」を会場に定刻どおり開催されました。講師は、循環器内科学講座の石田隆史教授が務め、講演は「心臓病にかからないためにあなたが自分でできること」として行われました。

初めに、血管をモチーフに血管内部の状況について、年代に応じて脂肪分が堆積して血栓を作りやすくしており、それが原因で血栓が心臓で詰まると心筋梗塞となり、脳で詰まると脳梗塞が発症するとのことで、特に心不全の原因として心筋梗塞があげられていました。
 なお、心筋梗塞の原因として主なものは、「たばこ」「脂質異常症」「高血圧」「糖尿病」「ストレス」があると説明されました。

これらの原因のうち特に重要なのは「高血圧」を予防することであると述べ、高血圧がもたらす疾患(脳卒中、認知症、心筋梗塞、動脈硬化、腎不全)を紹介され、高血圧の要因となっている塩分摂取について、日本人は遺伝的食塩感受性が高いにも関わらず塩分過多になっている実態を紹介されました。
 そのうえで、福島県内の生活習慣病の現状及び全国的な傾向についてお話されましたが、人間も動物も塩は「ほとんど」必要ない旨、動物やマサイ族などの例を示し生命維持には微量で足るとのお話でした。
 そのため、現代では塩を無駄遣いしているとのことで、学術的には塩が微量で足りているところを、昔からの食生活から過剰に摂取している可能性があるとのことでした。具体的には、江戸時代の人は一日当たり一人5合も食しており、ご飯をたくさん食べるために塩っぽくなったと言われており、食べるための手段として塩分の過剰摂取につながったとされています。

しかし、現代では塩はそこまで必要としておらず、例えば、冷蔵庫がない家庭が現代ではあるか、輸送技術の向上による保存食としての塩の役割が薄れたなど、不十分ではありますが少しずつ薄味にはなりつつあるとのことでした。
 試算値ではありますが、アメリカで1日3gの減塩を年間実施すると、脳卒中を3〜7万件も減らすことができ、医療費も年間1〜2兆円節約できるとの報告があります。一方で、世界で年間165万人が1日5g以上の食塩を接種することにより心血管死をきたしているとのことで、中国で600村を対象に塩分をカリウムに一部置き換えて実験をしたところ、様々な生活習慣病につながる値が改善されたことが報告されています。

最後に、減塩に向けたコツや健康な人の減塩目標値、減塩の具体的な効果、減塩の課題などが紹介され約1時間半に及ぶ講演が終了しました。

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