学生・教職員の方へ

仕事始めの式 理事長あいさつ(2025年1月6日)

仕事始めの式の様子1 仕事始めの式の様子2

みなさん、明けましておめでとうございます。
 2025年の仕事始めにあたり、ひとことご挨拶申し上げます。

今年は本学にとって、「仕込み」の年です。言い換えれば課題解決に向けた大きな取り組みの基礎、基盤を作る年とも言えます。昨年より第4期中期目標・中期計画がスタートし、私たちが向かうべき方向や使命を改めて示し、共有しました。目標や使命が高く困難なものであればあるほど、基礎、基盤づくりを丁寧に行わなければ、その達成や完遂は望むべくもないことは、皆さんもよく理解されていることと思います。

その取り組みのひとつが附属病院の再整備です。基本構想、基本計画の策定を経て、今年から基本設計の段階に入ります。いよいよこれまでの議論を「形」に置き換えていく作業が始まるということです。これは言うほど簡単なことではありません。例えば基本構想では「効率的・効果的な医療の提供」を附属病院の課題のひとつとして挙げています。これはまさに今後目指したい附属病院の姿であることに間違いありません。しかし、いざこれを形にするとなった時、皆さんはどのような具体的なイメージを想起するでしょうか?そして、想起したイメージは、隣の人と同じものでしょうか?まずそんなことはあり得ないでしょう。掲げる理念、目標は言葉として共有できても、それを具現化する時には人それぞれ、担当する分野、専門領域によっても求める形は違います。いかに異なるイメージをすり合わせ最適解を導き出すか。これまで以上のコミュニケーションと考察が必要になります。

そして、何をもって最適解とするかが次の課題となります。そのために大切なことは、この再整備が、何のため、誰のためなのかを常に忘れないことです。理念、構想の根本には、高齢化、労働生産人口の減少と働き方改革、医療・介護ニーズの変化など社会環境の変化があります。誰も経験したことのない社会環境の変化に対し、これまでの延長線上で単に最新、最先端の医療機器を導入した病院を整備すれば良いのでしょうか。これまでにない新しい医療機関の在り方を模索するために私たちに求められるのは洞察力です。洞察力とは物事を深く鋭く観察してその本質まで見通す力のことです。目先の課題解決だけでなく、これから40年、50年先まで福島県の医療を担う特定機能病院に何が求められるのか、備わるべきなのか。私たちの英知を結集し、その基礎、基盤を固めることが不可欠なのです。

同じことは双葉地域における中核的病院の整備についても言えます。この整備は双葉地域の医療提供課題解決の一翼を担う大きな転換点になるものと考えます。そして同時に、人口減少など日本が抱える様々な医療を取り巻く課題に対し、解決の道筋を示すモデルケースという大きな意味も持つと考えます。そのために新たな病院がどうあるべきか思考と議論を尽くさなければなりません。

これらのために必要なことは、私たちひとりひとりの幅広い視野と問題意識です。例えば、現在、ほぼ毎日のように報道されている戦争や自然災害、気候変動による被害を見ていると、ひとつひとつの事柄は互いに密接に関連していることに気づきます。紛争とエネルギー問題や健康問題、気候変動と食糧問題など、リスクは互いに影響しあっていたり、片方のリスクが他のリスクを内包したりしています。つまり、ひとつの課題にひとつの視点から考察するだけでは、本質は見えてこないということです。私たちで言えば、医療課題について、医療の面からだけではなく、経済や気候、エネルギーや社会インフラの整備など様々な面と組み合わせて検討と思考を繰り返し、課題を立体的にあぶりだす努力が必要なのです。

附属病院の再整備、双葉地域の中核的病院設置と附属化は、福島県と私たちが抱える医療課題の解決に向けた大きな一歩です。その基礎、基盤を強固で揺ぎ無いものにすべく、2025年、皆さんには医療を超えて広く興味関心、意識を拡げて課題に向き合い、深い洞察力を養うことを意識してください。
 未来の検証に耐える医療資源を私たちは構築しなくてはなりません。そしてそれは、実際の工事が始まってからでは遅く、まさに今が正念場なのです。時に挫折や失敗もあるものと思いますが、失敗は成功の通過点でしかないと信じて、前に進みましょう。皆さんの奮起と奮闘を期待しています。

2025年 1月 6日
公立大学法人福島県立医科大学
理事長兼学長 竹之下 誠一

事務担当 : 総務課 (大学管理係)

電話 024-547-1111(代)/FAX 024-547−1995
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