学生・教職員の方へ

令和5年 理事長 新年あいさつ(2023年1月4日)

皆さん、あけましておめでとうございます。2023年の仕事始めに当たり、御挨拶を申し上げます。

昨年、本県では1月末に「まん延防止等重点措置」や「福島県非常事態宣言」が、そして8月には「福島県感染拡大警報強化版」、「医療非常事態宣言」が、さらに12月には「福島県医療ひっ迫警報」等が発令され、その間、学内では複数のクラスターも発生しました。県内の重症者の対応に追われる一方で、学内では感染防止策の徹底を図るなど、新型コロナウイルス感染症による様々な影響を受けた1年でもありました。
 そのような中にあっても、皆さんの献身的な御尽力のおかげで、基盤となる附属病院や会津医療センターの経営も安定した状況の下、学生を含め教職員一丸となって、「教育、研究及び医療」さらには「東日本大震災からの復興を医療と健康面から支える」という本学の使命を完遂することができました。
ありがとうございました。

中でも、課題であった医学部使命に関しては、「高い倫理観と生涯にわたる探究心を持つ医師を養成し、世界に知を発信する」と策定することができました。また、「本県の未来を担う子どもたちと女性に寄り添い歩む助産師を養成する」というスローガンの下、別科助産学専攻や大学院看護学研究科助産師コースの4月開設に向けた準備が整ったところであります。引き続き、ダイバーシティ推進に努め、学部横断的な医療人育成と研究支援に力を注ぎます。特に、新設の保健科学部では、医学部・看護学部との連携によりチーム医療の授業を通して、視野の広いスペシャリストの育成に努め、さらにはキャリア形成のための大学院設置に向けた議論もスタートさせております。

また、ふくしま国際医療科学センターにおきましては、東日本大震災後の取組の中で確立した独自のタンパク質マイクロアレイ技術の活用により、新型コロナウイルス感染症に有効な抗体を会得するとともに、そこで得られたIgA抗体を利用したマスクなどの衛生用品の開発および市場への投入まで行くことができました。さらに、アルファ線核種を利用したRI内用療法の世界で初めての臨床治験の開始など、先端的な研究成果を次々にあげることができました。
 一方、世界中に吹き荒れるコロナ禍の中、本県医療の最後の砦として、県内全域に医師を派遣し、新型コロナワクチンの接種を含めて、地域医療支援の枠組みの下、本学の使命を着実に果たしてきました。また、本学に全県横断的な組織として「COVID-19入退院支援センター」を設け、最前線で県や各診療科との連携・調整を図り対応してまいりました。さらに、新型コロナウイルス感染症を始めとした新興感染症に迅速かつ的確に対応するため、専門的な知識・技術を有する「感染管理認定看護師」の育成・確保に向けた県の取組にも積極的に関与しております。加えて、県と連携し、FDB(福島県版健康データベース)を用いた科学的根拠に基づいた県民の健康増進にも努め、3年ぶりに「いきいき健康づくりフォーラム」を盛況の下に開催することもできました。

さて、本年は、会津地域において先進的な医療を提供し、その充実を図るために設立された会津医療センター開設10周年という節目の年です。そして、同時に浪江町に、創造的復興の中核拠点となる福島国際研究教育機構が設立され、本県の創生が本格的に始動する年でもあります。これらは「東日本大震災からの復興を医療と健康の面から支える」という本学の使命が、新しいステージにステップアップします。新年にあたりそのことを私たちはしっかり理解しておかなければなりません。では、新しいステージとはどのようなものか。それは、福島県民の医療と健康を、世界の最先端の知見を活用して支えること、です。
 私たちは東日本大震災後から蓄積してきた研究成果や知見をフルに活かし、福島国際研究教育機構において中核的役割を担う機関の一つになります。そして、これまでにない新たな知見を創出し、世界に冠たる多くの機関と知の共有と人材交流を促進します。それは取りも直さず、世界の最先端の知見が福島にもたらされ、グローバル化への具体的な拠点を持つことに繋がります。この機構を介して本学は世界とのつながりを一層強化し、より多くの最先端の知見や経験、ネットワーク、トレンドに至るまで吸収し、福島と県民、そして日本全体に還元していくことが可能になるのです。
 私たちは、自らの経験と知識に加え、世界の知見をも、いち早く福島県民の医療と健康の維持増進策に応用し、本県医療の中核として、その使命の下、県内各地域の医療を引き続き、全力で支えていくことになります。

このように、本年が新たなステージへ飛躍する重要な1年となることは間違いありません。
 そのために皆さんには、これまでにも折に触れ「変化を進化へ、そして新しい価値の創造」をスローガンとして、時代や社会情勢など取り巻く環境の変化に学内外と緊密に連携(アライアンス)し、しなやかに対応(レジリエンス)できる力が重要であるとお伝えしてきました。そして、改めて、このことを強く認識いただき、本年が今後10年の本学のあり方を左右する大切な1年となることを強く意識し、広い視野と洞察力を持って、今年1年の仕事に当たってください。
 私自身、皆様の奮起と奮闘に応えるよう、役員ならびに関係者と共に全力を尽くします。

2023年、令和5年はうさぎ年です。更なるジャンプで新たなステージへ飛躍してまいりましょう。

令和5年1月4日
福島県立医科大学理事長兼学長
竹之下 誠一

事務担当 : 総務課 (大学管理係)

電話 024-547-1111(代)/FAX 024-547−1995
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