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福島県立医科大学 トピックス 

「腹腔鏡下膀胱尿管逆流防止術」が東日本で初めて本学附属病院で先進医療Aに認可されました。

小児の1パーセント程度に発症するといわれる膀胱尿管逆流という病気に対して、侵襲の大変低い手術とされる「腹腔鏡下膀胱尿管逆流防止術」が、東日本では初めて、9月1日から本学附属病院において先進医療Aに認可されました。我が国では、名古屋市立大学病院、京都府立医科大学附属病院、大阪市立総合医療センターに次いで、本学附属病院が4施設目となります。

1、膀胱尿管逆流とは
・尿は通常腎臓から尿管を通って膀胱に一方通行で流れます。しかし膀胱尿管逆流は、尿管膀胱移行部(尿管が膀胱に吻合する部分)の構造や機能に先天的な異常があるため、膀胱内の尿が尿管から腎盂、腎実質内へ逆流する現象がおこる病気です。
・小児の約1%に発症する頻度の高い病気です。
・そのまま放置した場合は以下のような問題が生じる可能性があります。
@尿路感染症、特に腎盂腎炎をひき起こす可能性がある。
A進行すると腎機能障害をきたし、腎不全にいたる可能性がある。
・したがって、治療が必要となりますが、治療は逆流が軽度の場合は抗生物質の内服治療、逆流が高度な場合や腎盂腎炎を繰り返す場合は手術療法となります。
        
2、手術治療について
@開腹手術
傷は下腹部に約6-10cm切開線をおきます。
<利点>
最も一般的に行われている標準的な手術です。手術時間は腹腔鏡下手術に比較して短いです。
<欠点>
腹腔鏡下術に比較して、侵襲が大きく、出血量が多く、傷が大きく、術後の回復期間も長いです。術後尿道カテーテル留置期間も長く、膀胱刺激症状が1週間以上続きます。 

A腹腔鏡下手術
傷は5-10mm程度の傷が数箇所つくのみです。カメラを入れる穴は1.5cm程度の傷ができますが、臍に穴をあけるためほとんど傷は目立ちません。小さな傷からカメラと器械を挿入し、モニターを見ながらする手術です。
<利点>
傷が小さく、美容上も開腹手術に比べて良好で、術後の回復期間もきわめて短いです。膀胱 を大きく開けないため、術後の膀胱刺激症状やカテーテルの留置期間も極めて短いことが見込まれます。カメラにより拡大しながら手術を行うことができ、小さな血管も見逃さないため、出血量が少ないです。
<欠点>
手術時間が開腹手術に比較して若干長いことが多いです。保険診療が認められていません。

これまで、膀胱尿管逆流の手術は開腹手術が一般的でしたが、近年欧米を中心に、患者様に優しい手術(低侵襲手術)として腹腔鏡下手術が盛んに行われております。日本においても、今日では多くの患者様に対して行われております。
本学附属病院では最新の治療を患者様に提供するとともに、より患者様の負担を少なくするような治療法を行っています。この一環として泌尿器科・副腎内分泌外科は、様々な病気の患者様に対して腹腔鏡下手術を行ってきました。これまでに前立腺癌、腎臓癌、腎盂尿管癌や腎臓の先天異常(水腎症)、停留精巣などに対して腹腔鏡下手術を行い、その有効性と安全性は確立されております。

     
       開放手術の傷             腹腔鏡手術の傷

 

担当 : 広報コミュニケーション室

電話 024-547-1016(事務:企画財務課)
/ FAX 024-547−1991

 

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