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福島県立医科大学 トピックス

本学教員のコメント論文が「Lancet Haematology」に掲載

本学医学部輸血・移植免疫学講座の池田和彦主任教授、ノレット・ケネス教授は、血液系臨床医学雑誌で世界的に著名な「Lancet Haematology」(医学雑誌「The Lancet」の姉妹誌)から、海外で行われたHiFIT(Hip Fracture Iron and Tranexamic acid・股関節骨折における鉄とトラネキサム酸使用)試験の論文に対し、コメント論文(linked comment)を執筆するよう招待を受け、論文が同誌ウェブサイトに掲載されました。

鉄欠乏性貧血は、一般的な疾患ですが、手術の前後にも多く見られます。手術の出血に伴い貧血が進むと、赤血球の輸血が必要となることがあります。輸血量が多いほど術後の合併症や死亡の危険性が高くなるため、なるべく輸血量を少なくすることが推奨されています。その対策のため、静脈内注射ができる高用量鉄剤や止血を助ける薬剤のトラネキサム酸の使用が試みられていました。

フランス・アンジェ大学病院のSigismond Lasocki医学博士らが発表した論文では、貧血を伴う大腿骨近位部骨折に対して手術時に静注鉄剤とトラネキサム酸を使用するHiFIT試験の結果として、静注鉄剤(デルイソマルトース第二鉄)とトラネキサム酸を併用された患者では、輸血量の減少と貧血の改善の効果が得られることなどが発表されています。また、静注鉄剤(デルイソマルトース第二鉄)は1回当たりの投与回量が多いため、投与回数が少なくて済むという利点があったことも報告されています。

池田和彦主任教授、ノレット・ケネス教授は、コメント論文において、静注鉄剤(デルイソマルトース第二鉄)とトラネキサム酸の併用は、準緊急的な手術でも輸血を減らせることから、患者さんが望む輸血医療(PBM,Patient Blood Managementと呼ばれる)の観点から期待できる方法であると述べました。


◯論文サイト(※記事全文を読むにはアクセス権の購入が必要となります)
https://www.thelancet.com/journals/lanhae/article/PIIS2352-3026(23)00214-4/fulltext

◯関連リンク:
本学教員のコメント論文(linked comment)が「The Lancet」に掲載されました
https://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/topics/20230301-0.html

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