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福島県立医科大学 トピックス

新型コロナウイルス感染症回復者血液からの抗体取得結果に係る
研究の進捗状況と今後の展開についての記者会見開催しました。

記者会見の模様1
記者会見の模様2

このたび、令和3年4月27日(火)に医療-産業トランスレーショナルリサーチセンター(TRセンター)では、新型コロナウイルス感染症回復者の血液から、新型コロナウイルスに対する中和活性(ウイルスの感染を防ぐ能力)を持つ抗体(中和抗体)の遺伝子を18種類(IgG 15種類、IgA 3種類)取得し、この感染症の予防薬や治療薬などの開発へとつなげる道筋が見えてきたことから、これまでの研究の進捗状況や今後の展開についてお伝えすることを目的として、新型コロナウイルス感染症回復者血液からの抗体取得結果に係る記者会見を開催いたしました。

TRセンターでは、2012年より始まった経済産業省が支援する福島復興プロジェクトによって得られた成果である、「タンパク質マイクロアレイ」解析技術を活用し、昨年2月より治療薬、予防薬、検査薬等の開発に有用な抗体およびその遺伝子の取得の研究を進めてきました。この技術を活用した、新型コロナウイルスに対する中和抗体取得には、新型コロナウイルス感染症回復者の血液を必要とし、新型コロナに感染して回復した人を対象に採血ボランティアの募集もさせていただいていました。このことは既に昨年9月に発表させていただきました。
 竹之下誠一理事長兼学長とTRセンター高木基樹教授が参加した会見では、採血ボランティア協力の御礼、抗体取得の報告、と今後の展開の見通しについての説明を行いました。

 本学として、IgAの抗体医薬品開発を積極的に支援していくこと、IgA抗体は安定性が高く、気道などの粘膜上で活動することから、新型コロナウイルスの粘膜、気道等からの侵入を未然に防ぐ一次防御機能に期待していること、スプレーで鼻孔に直接噴霧したり、トローチとして口の中で溶かしたりする抗体医薬品を想定していること等を説明しました。医薬品の実用化には通常10年程度を要するが、医療界と産業界の橋渡し役を担うTRセンターの企業連携の実績などを活かし「できるだけ早くみなさんにお届けしたい」と高木基樹教授はコメントしました。
 医薬品開発支援と並行して今夏を目標に企業と連携のうえ、IgA抗体を含んだマスクなどの衛生用品の試作品開発を急ぐこと、医薬品の開発に使用しない抗体は診断薬企業や試薬企業に活用を促すこと、より感染を防ぐ力の強い抗体について特許の取得を計画していることについても言及しました。

最後に、今後あらたな進展があれば会見や投げ込み等によりお話しさせていただくことを伝え会見を締めくくりました。

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