スイス雑誌「Frontiers in disaster and emergency medicine」掲載(2026年3月)
Indirect disaster-related deaths among patients with hematologic disorders after the 2011 Fukushima nuclear disaster
2011年福島原発事故後の血液疾患患者における災害関連死
丸井 秀則(まるい・ひでのり)
放射線健康管理学講座 MD-PhD生
研究グループ
丸井秀則、澤野豊明、二上純奈、内悠奈、川島萌、北澤賢明、吉村弘記、野中沙織、伊東尚美、山本知佳、阿部暁樹、村上道夫、山村桃花、趙天辰、榊原守、柳内和子、大槻真子、尾崎章彦、及川友好、丹羽真一、坪倉正治
概要
論文掲載雑誌:「Frontiers in disaster and emergency medicine」 (2026年3月)
放射線災害では、放射線そのものによる直接的な健康影響に加え、避難や医療体制の混乱に伴う間接的な健康影響が問題となります。特に、継続的な専門的治療を必要とする血液疾患患者が、災害時にどのような影響を受けるのかについては、十分に明らかにされていませんでした。そこで本研究では、福島第一原発事故後において、継続的な治療が求められる血液疾患患者が災害によってどのような影響を受けたかを調査しました。
本研究は、福島県南相馬市において認定された災害関連死520例のうち、血液疾患を有する3症例を対象としたケースシリーズ研究です。各症例について、避難状況、経過、死因や発症状況を詳細に検討しました。
1例目は骨髄異形成症候群患者で、避難搬送後に十分な医療を受けられず短時間で死亡しました。2例目は本態性血小板血症患者で、災害後の避難により身体的・社会的な変化に伴い通院が困難になり、最終的に骨髄線維症に移行しました。3例目は災害前に血液疾患を有していませんでしたが、避難後の生活環境下で急性骨髄性白血病が新たに診断されました。
これらの症例から、放射線災害後の短期および中長期の避難は、血液疾患患者における治療中断や病状悪化、さらには診断遅延を引き起こす可能性が示唆されます。したがって、災害時には個別化された避難計画、事前の備え、医療情報の共有を通じて医療継続性を確保することが重要であり、慢性疾患患者を支える災害医療体制の強化が求められます。
連絡先
公立大学法人福島県立医科大学 医学部 放射線健康管理学講座
電話:大学代表024-547-1111 または、024-547-1891
FAX:024-547-1889
講座ホームページ:https://www.fmu.ac.jp/cms/houken/index-2.html
メールアドレス:m221109@fmu.ac.jp, toyoakisawano@gmail.com(スパムメール防止のため一部全角表記しています)