米国雑誌「Disaster Medicine and Public Health Preparedness」掲載(2025年6月)
Establishing and Operating Welfare Shelters in the Aftermath of the 2024 Noto Peninsula Earthquake: A Case Study of Adaptive Management for Vulnerable Populations
2024年能登半島地震後の福祉避難所の設置と運営:脆弱な集団に対する適応的管理の事例研究

小坂 真琴(こさか・まこと)
放射線健康管理学講座 大学院生
研究グループ
小坂真琴、山本知佳、石川和子、中村悦子、山村桃花、池口亮、西川佳孝、阿部暁樹、趙天辰、遠藤通意、澤野豊明、森山信彰、尾崎章彦、坪倉正治、紅谷浩之
概要
論文掲載雑誌:「Disaster Medicine and Public Health Preparedness」 (2025年6月16日)
・本研究では、2024年1月1日に発災した能登半島地震後に、福祉避難所の運営に携わった著者による一次的な体験をもとに、福祉避難所運営における課題と、実際に行われた対処を時期ごとに(初期段階、運用段階、撤退段階)分けて分析した。
・発災直後は自主避難所として地域の住民を広く受け入れたが、発災1週間後に福祉避難所となることが決定し、以後は市役所から依頼を受けた、支援を必要とする避難者のみを受け入れる形に変更となった。同時に、元々のグループホームの入居者は集団で遠隔地に避難することとなった。
・初期段階においては、福祉避難所運営に関わる人材の確保、食糧・水などの資源の確保が課題として挙げられた。今回のケースでは、看護師や医師のネットワークを活かし、全国から来た医療者が数日単位で交代に避難所の運営業務を担った。一部では全国からのボランティアの医療者が後方支援に入ることで、関係団体の医師が被災地に長期に滞在できる体制を作るなどして対処した。
・運用段階では、炊き出し等による食糧の栄養の偏り(炭水化物の過多やタンパク質の不足)や、感染症発生時の対応が課題として挙げられた。本ケースでは、栄養補助食品を利用することや、口腔ケアや認知症ケア,医師による定期的な健康チェックを行うことで対応を行なった。加えて、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症発生時には隔離エリアを設置して対応した。
・運用段階から閉鎖に向けた段階においては、二次福祉避難所などの次の行き先の確保が課題として挙げられた。本ケースでは、関係する団体が富山県高岡市と福井県勝山市に二次福祉避難所を開設することで、対応を行なった。(小坂 真琴)
連絡先
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