英国誌「Palliative & Supportive care」掲載(2025年6月)
End-of-life care at welfare evacuation centers following the 2024 Noto peninsula earthquake
令和6年能登半島地震後の福祉避難所における終末期ケア
山村 桃花(やまむら・ももか)
放射線健康管理学講座 MD‐PhD学生
研究グループ
山村桃花、池口亮、小坂真琴、阿部暁樹、趙天辰、山本知佳、遠藤通意、澤野豊明、石川和子、森山信彰、尾崎章彦、坪倉正治、紅谷浩之
概要
論文掲載雑誌:「Palliative & Supportive Care」 (2025年6月23日)
目的
令和6年能登半島地震後における福祉避難所での終末期ケアの課題とその実際について検討し、同様の状況での防災体制の改善に向けた教訓を明らかにすることを目的とする。
症例提示
症例1: 90代後半の男性。一般の避難所でCOVID-19に感染し、福祉避難所へ移送された。発熱と著しい身体機能の低下を呈していた。解熱と安楽のためにアセトアミノフェンが投与された。症状は徐々に悪化し、避難所到着から8日後、医療スタッフに見守られながら穏やかに息を引き取った。
症例2: 喫煙と飲酒の既往がある60代の男性。自宅で寝たきりとなり失禁しているところを発見され、福祉避難所へ移送された。避難から2日後に下肢と腰の痛みを訴え、動脈閉塞が疑われた。避難所でモニタリングと支持療法が行われたが、疼痛管理は不十分であった。避難から4日後、呼吸停止の状態で発見され、死亡が確認された。
結論
これらの症例は、災害時における終末期ケアのための統一的なガイドラインと外部支援体制の構築の必要性を浮き彫りにしている。日本のような災害が多発する国においては、尊厳ある終末期を迎えられるようなケアを提供するために、シナリオに基づく訓練の実施や訓練を受けたボランティアの活用が不可欠である。(山村 桃花)
連絡先
公立大学法人福島県立医科大学 医学部 放射線健康管理学講座
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