ヨーロッパ雑誌「ESC Heart Failure. 2024; volume 11」掲載(令和6年3月30日)

Geriatric Nutritional Risk Index predicts bleeding event in patients with heart failure

Geriatric Nutritional Risk Indexは心不全患者の出血イベントを予測する

福島県立医科大学の佐藤悠助教の公式写真。スーツを着用し、青い背景の前で微笑んでいる。

佐藤 悠(さとう・ゆう)

医学部 循環器内科学講座 助教

研究グループ

佐藤 悠、義久 精臣、野﨑 祐司、大原 妃美佳、菅原 由紀子、阿部 諭史、三阪 智史、佐藤 崇匡、及川 雅啓、小林 淳、八巻 尚洋、中里 和彦、竹石 恭知

概要

論文掲載雑誌:「ESC Heart Failure. 2024; volume 11」(March 30, 2024)

栄養障害は心不全患者の主要な合併症の一つです。栄養障害評価ツールのうち、Geriatric Nutritional Risk Index(GNRI)は心不全患者の評価に有用であると報告されています。栄養障害は慢性炎症などを介して出血イベントを引き起こすことが推定されますが、心不全患者におけるGNRIと出血イベントとの関係は明らかではありませんでした。本研究ではGNRIを用いて心不全患者の栄養状態を評価し、頭蓋内出血または消化管出血からなる出血イベントとの関連を調査しました。合計2,044名の心不全入院患者のデータを収集し、栄養状態が不良な群1,438名(70.4%; 低GNRI群)とそうでない群606名(29.6%; 高GNRI群)に分類しました。2群間に抗血栓薬等の内服頻度に有意差を認めませんでしたが、退院後の出血イベントの発生頻度は低GNRI群で高率でした。多変量Cox比例ハザード解析では、GNRIが低値であることは約2倍の出血イベントのリスクと関連していました。以上から栄養状態が不良な心不全患者では出血予防も考慮した包括的な疾患管理が必要であることが示唆されました。(佐藤 悠)

連絡先

ページの先頭へ戻る