英国科学誌「Sports Medicine – Open」掲載(令和5年5月3日オンライン)
若年野球選手における下肢関節可動域の年齢変化と腰痛との関連:1215名の選手による横断研究
Age-Related Differences in the Limited Range of Motion of the Lower Extremity and Their Relation to Low Back Pain in Young Baseball Players: A Cross-Sectional Study of 1215 Players

加藤 欽志(かとう・きんし)
整形外科学講座 講師
研究グループ
加藤欽志1,2、大歳憲一1,2、富永亮司1、加賀孝弘2、猪狩貴弘1、兼子陽太1、紺野愼一11. 福島県立医科大学医学部 整形外科学講座2. 福島県立医科大学 スポーツ医学講座
概要
論文掲載雑誌:「Sports Medicine - Open」掲載(令和5年5月3日)
スポーツをする子供たちにおいて、下肢の筋柔軟性が腰痛の発症に関与するかどうかは、年齢、競技種目、性別、対象とする筋肉など、様々な条件によって相反する結果がこれまで報告されていました。
当講座では2014年から福島県内の小・中・高校生の野球選手を対象に、毎年運動器検診事業(メディカル・チェック)を実施してきました。本研究では、野球選手において、下肢の筋柔軟性の年齢変化と腰痛との関連を評価しました。
福島県内の6~16歳の野球選手1215名を対象に、腸腰筋、大腿四頭筋、ハムストリングスの筋柔軟性を評価し、年齢別に各筋の柔軟性とシーズン中に発生した腰痛との関連を検討しました。結果として、腸腰筋、大腿四頭筋、ハムストリングスの筋柔軟性は年齢が上がるにつれて低下する傾向がありました。特に11から14歳の間における大腿四頭筋の柔軟性の低下が最も急速であることが明らかになりました。多変量解析を用いて、体格、練習量、下肢のスポーツ障害の既往歴で調整した結果、11から14歳までの選手において、大腿四頭筋の筋柔軟性と腰痛の発生との間に統計学的に有意な関連が認められました。
腰痛予防の観点からは、11から14歳の学童野球選手においては大腿四頭筋の筋柔軟性に特に注目して評価することが重要だと考えられます。
関連サイト
-
論文
https://doi.org/10.1186/s40798-023-00572-w
連絡先
- 公立大学法人福島県立医科大学 医学部 整形外科学講座
- 電話:024-547-1276
- FAX:024-548-5505
- 講座ホームページ: https://fmu-orthop.org/
- メールアドレス:fortho@fm u.a c.jp(スパムメール防止のため、全角やスペースを含む表記をしています)