米国科学誌「Frontiers in Immunology」掲載(令和4年12月14日)

Increased CEACAM1 expression on peripheral blood neutrophils in patients with rheumatoid arthritis

RA患者の好中球におけるCEACAM1分子の異常

医学部の助手、松本聖生氏が微笑むポートレート。背景には研究機器が見える。

松本 聖生(まつもと・はるき)

医学部 リウマチ膠原病内科学講座 助手

研究グループ

福島県立医科大学 医学部 リウマチ膠原病内科学講座松本聖生、藤田雄也、齋藤賢司、住近祐哉、吉田周平、天目純平、松岡直紀、古谷牧子、浅野智之、佐藤秀三、鈴木英二、渡辺浩志、右田清志福島県立医科大学 医学部 消化器内科学講座鬼澤道夫福島県立医科大学 医学部 免疫学講座町田 豪

概要

論文掲載雑誌:「Frontiers in Immunology」 (令和4年12月14日)

免疫チェックポイント分子は自己免疫性疾患の病態に関与し, 私達の既報では抑制系の免疫チェックポイント分子であるT cell immunoglobulin and mucin domain-3(TIM-3)がRAの病態に関与していることを示しました. Carcinoembryonic-antigen-related cell-adhesion molecule 1(CEACAM1)はTIM-3の会合分子であり, 自己免疫の制御に重要な分子とされていますが, 関節リウマチ(RA)の病態におけるCEACAM1の役割は明らかになっていませんでした. 今回RA患者から分離した免疫細胞表面のTIM-3およびCEACAM1の発現を解析し, RAの病態との関連性を検討しました.

当科通院中のRA患者37名と健常人(HC)20名を対象とし, 免疫細胞表面のTIM-3とCEACAM1の発現をフローサイトメトリーで解析しました.

結果として, CEACAM1は好中球細胞表面にみられ, RA患者ではHCと比較して有意に発現が亢進していました( p =0.001). また, RA患者内での検討ではCRP陽性群, SDAIにおける寛解群でCEACAM1の発現が有意に上昇していました( p =0.001, p =0.042). TIM-3は単球にのみ発現していましたが, RA患者とHCで差はありませんでした.

この結果を踏まえた追加検証として, CEACAM1のRAの炎症病態における関与を明らかにするために, 炎症性サイトカインであるIL-6とTNF-αで好中球を刺激しました. 結果, IL-6と比較してTNF-αによる刺激でCEACAM1の細胞表面への発現がより亢進しました.

今回の研究ではRA患者の好中球表面では健常人に比してCEACAM1が有意に発現しており, その異常発現にはTNF-αが関与している可能性が示唆されました.

連絡先

  • 公立大学法人福島県立医科大学 医学部 リウマチ膠原病内科学講座
  • 電話:大学代表024-547-1111または 医局 024-547-1171
  • FAX:024-547-1172
  • 講座ホームページ: http://www.intmed2.fmu.ac.jp/rheumatology/index.html
  • メールアドレス: rheum@fmu.ac.jp (スパムメール防止のため、一部全角表記しています)

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