米国科学誌「Journal of Biological Chemistry」掲載(令和4年5月30日オンライン)
c-Src mediated phosphorylation and activation of kinesin KIF1C promotes elongation of invadopodia in cancer cells
c-Srcを介したキネシンKIF1Cのリン酸化および活性化はがんの浸潤突起の伸長を促進する

佐事 武(さじ・たけし)
医学部 生化学講座 助教
研究グループ
佐事 武、西田 満(福島県立医科大学・生化学講座)遠藤 光晴、南 康博(神戸大学・医学研究科)池田 一穂、岡田 康志(東京大学・医学系研究科)
概要
論文掲載雑誌:「Journal of Biological Chemistry」 (令和4年5月30日)
福島県立医科大学・医学部・生化学講座の佐事 武助教、西田 満教授の研究グループは、神戸大学の南 康博教授および東京大学の岡田 康志教授(兼任・理化学研究所)らとの共同研究によって、KIF1Cと呼ばれるキネシンモータータンパク質が、浸潤突起の伸長を促進することでがん細胞の浸潤を促進させることを発見しました。
浸潤突起は多くの浸潤性がん細胞に認められる細胞膜突起構造であり、がん微小環境中にがん細胞が移動するための空間をつくることでがんの浸潤・転移を促進することが知られています。これまでの研究から、初期の浸潤突起形成メカニズムについては比較的よく知られていましたが、その後の浸潤突起の伸長メカニズムについては解明されていませんでした。今回、KIF1Cがチロシンキナーゼc-Srcによってリン酸化されることで活性化され、浸潤突起の伸長をもたらすことが明らかにされました。
今後、KIF1Cを標的としたがん細胞浸潤の阻害方法の開発など、新たな治療法の開発への応用が期待されます。
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