米国雑誌「Scientific Reports」掲載(2020年9月28日オンライン)

The superior frontal longitudinal tract: a connection between the dorsal premotor and the dorsolateral prefrontal cortices.

上前頭縦走路:背側運動前野と背外側前頭前野を結ぶ線維連絡

医療用白衣を着た男性が微笑みながらカメラを見つめている写真。背景には書籍が並んでいる。

Mudathir Salman Ismail Bakhit(ムダシル サルマン イスマイル バキット)

医学部 脳神経外科学講座 大学院生

福島県立医科大学の准教授、藤井正純氏が白衣を着て微笑んでいるポートレート。

藤井 正純(ふじい・まさずみ)

医学部 脳神経外科学講座 准教授

医療用白衣を着た男性がカメラに向かって微笑んでいるポートレート。背景は淡い色合いの壁。

蛭田 亮(ひるた・りょう)

医学部 脳神経外科学講座 大学院生

医学部の助教、山田昌幸氏のポートレート。白い背景に笑顔で写る。

山田 昌幸(やまだ・まさゆき)

医学部 脳神経外科学講座 助教

医師の岩味健一郎氏が白衣を着て微笑んでいるポートレート。

岩味 健一郎(いわみ・けんいちろう)

医学部 脳神経外科学講座 博士研究員、愛知医科大学 脳神経外科学講座 講師

医療現場で白衣を着た男性のポートレート。福島県立医科大学の講師、佐藤拓氏。

佐藤 拓(さとう・たく)

医学部 脳神経外科学講座 講師

齋藤清教授が微笑みながらカメラを見つめるポートレート。背景は木目調の壁。

齋藤 清(さいとう・きよし)

医学部 脳神経外科学講座 教授

研究グループ

福島県立医科大学脳神経外科学講: バキットムダシル; 藤井正純;蛭田亮;山田昌幸;佐藤拓;齋藤清愛知医科大学脳神経外科学講座脳神経外科学講:岩味健一郎

概要

論文掲載雑誌:「Scientific Reports」 (2020年09月28日オンライン)

人間の大脳は、神経細胞が存在する「皮質」と、これらの皮質の領域どうしを繋げる線維である「白質」からなります。脳神経外科医にとって、患者の脳機能を守るためには、皮質だけでなく白質の解剖の知識が非常に重要です。これは、脳の手術で、いくら皮質部分を守ったとしても、これらの皮質領域を繋ぐ白質線維を切断してしまうと結局脳の機能を守ることができないからです。福島県立医科大学は、脳神経外科と神経解剖が共同して、ヒトの死後脳を利用した脳内線維の解剖研究を行うことができるユニークな研究環境が整っています。また、最近では、MRIを用いて、健常人でこれらの白質線維を調べる神経画像解析ツールが開発されています。

私たちは、上記の二つの手法を用いたヒトの脳内ネットワークの研究を行うなかで、前頭葉内を走行する新しい白質線維束を見出しました。この線維束は、霊長類の脳では報告されていましたが、ヒトでは存在がこれまで疑問視されていたものです。私たちはこの前頭葉内の線維束を「上前頭縦走路」と名付けました。この線維束は、背側運動前野と呼ばれる運動や行動の計画や整理を司る領域と、背外側前頭前野と呼ばれる以下のような高次の脳機能に関連する領域を繋ぐ線維です。背外側前頭前野は、注意の切り替え、作業記憶、不適切な行動の抑制などに関連した領域であることが知られています。今後、この研究を発展させて、この線維が、人間の認知機能を具体的にどう支えているのか、また脳神経外科手術での影響がどの程度あるかなど、我々の研究をもとに、さらに解明されることが期待されます。

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