米国雑誌「Arthritis Research & Therapy」掲載(2020年7月22日)

Elevated serum levels of checkpoint molecules in patients with adult Still’s disease

成人スチル病における免疫チェックポイント分子の異常

福島県立医科大学のリウマチ膠原病内科学講座の助手、藤田雄也氏のポートレート。

藤田 雄也(ふじた・ゆうや)

医学部 リウマチ膠原病内科学講座 助手

研究グループ

藤田雄也、浅野智之、松本聖生、松岡直紀、天目純平、佐藤秀三、古谷牧子、鈴木英二、渡辺浩志、古賀智裕、川上純、右田清志

概要

論文掲載雑誌「Arthritis Research & Therapy」 (2020年7月22日)

リウマチ性疾患と免疫チェックポイント分子との関係性についての報告はまだ少ない。免疫チェックポイント分子の中でも、co-inhibitory moleculeとして分類されるGalectin-9(Gal-9)とその受容体であるT cell immunoglobulin-containing-molecule-3(TIM-3)は、自己免疫や自己炎症に抑制的に働くという報告がある。今回、我々はリウマチ性疾患の中でも自己炎症性疾患に分類される成人スチル病(ASD)との関連性について検討を行った。その結果、ASDは健常人、さらに関節リウマチ(RA)患者と比較して有意にGal-9と可溶性TIM-3 (sTIM-3)が高値であった。すでにASDの病態や活動性を反映することで知られているIL-18やFerritinのいずれもがGal-9、sTIM-3と良好な正の相関を示した。ASDには多周期全身型、単周期全身型、慢性関節炎型の3病型に分けられる、Gal-9/Ferritin比、sTIM-3/Ferritin比をそれぞれ調べたところ、Gal-9/Ferritin比は慢性関節炎型で他の2病型より有意に高値を示した。sTIM-3/Ferritin比は慢性関節炎型が多周期全身型より有意に高値であった。さらに、治療介入の影響を検討したところ、治療後のGal-9、sTIM-3は、治療前と比較していずれも有意に低下していた。

これらの結果から、Gal-9やTIM-3などの免疫チェックポイント分子が、ASDの診断や病型分類、疾患活動性指標として有用である可能性が示唆された。

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