英国雑誌「BMJ Open」掲載(2019年10月)

Disparity in pre-emptive end-of-life conversation experience caused by subjective economic status among general Japanese elderly people: a cross-sectional study with stratified random sampling.

日本人一般高齢者における主観的経済状態に起因する終末期事前会話の格差:層化無作為抽出法による断面研究

医療に関する研究を行う講師が、書籍の並ぶ背景で微笑んでいるポートレート。

日高 友郎(ひだか・ともお)

医学部 衛生学・予防医学講座 講師

研究グループ

日高友郎・遠藤翔太・春日秀朗・増石有佑・各務竹康・熊谷智広・斎藤恵子・阿部孝一・福島哲仁

概要

英国雑誌:「BMJ Open」 (2019年10月)

人生の終わり(終末期)に、どのようなケアを望むか。希望する終末期のあり方を事前に周囲に伝えておくことで、高齢者だけでなく、家族・友人も、より安心して生活を送ることができると考えられています。

本研究は、福島県郡山市に居住する地域高齢者を対象者とし、どのような要因が、終末期事前会話の実施に関連しているのかを調べました。

解析の結果、主観的経済状態が低い(自分で自分の経済状態を「貧しい」と感じている)者は、終末期事前会話をしない傾向があることが明らかになりました。貧しいと感じている者は、家族への負担や迷惑を過度に懸念するために、心の余裕がなくなり、事前に希望を伝えることをためらうのかもしれません。

これはさらに深刻な問題を内包しています―いざ本当に終末期を迎え、高齢者本人の意思表示が困難となった場合に、家族・友人が参考にすべき情報がないという事態になるかもしれません。その結果、本人にとっても、家族・友人にとっても、望ましくない選択をしてしまう、という事態も考えられます。本研究は、終末期における高齢者とその周囲の人々を支えるための、基盤となる知見を提供しました。

なお本研究は、衛生学・予防医学講座と福島県郡山市保健所との共同研究として実施されました。地域高齢者とその家族の、より安心・充実した生活に貢献できるよう、行政保健師との連携をさらに深めてまいります。

連絡先

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