米国科学誌「Biochimica et Biophysica Acta」 掲載 〔平成29年7月〕

A unique glycan-isoform of transferrin in cerebrospinal fluid : A potential diagnostic marker for neurological diseases

脳脊髄液中トランスフェリンのユニークな糖鎖アイソフォーム :中枢神経系疾患マーカーへの応用

星 京香(ほし・きょうか )

生化学講座 主任医療技師

研究グループ

星 京香、松本由香、伊藤浩美、齋藤 清 、本多たかし、山口芳樹、 橋本康弘

概要

論文掲載誌:「Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - General Subjects 」 (2017 Jul. 12 : online) トランスフェリンは鉄の運搬タンパク質である。神経系はヘモグロビン代謝を除くと最も鉄代謝の盛んな臓器である。脳や脊髄の周囲には髄液と呼ばれる液体が存在し、血液とは血液脳関門によって隔てられている。このため、髄液中には中枢神経系に特有のバイオマーカーが含まれる。 我々は、髄液中のトランスフェリンには2種類の異性体があることを示した。1つは血液中のものと同一であり(血清型トランスフェリン)他の1つは脳型トランスフェリンである。脳型トランスフェリンは脳内で作られるため、神経疾患のバイオマーカーとなることが示された。脳型トランスフェリンは、アルツハイマー型認知症と髄液代謝異常による認知症(特発性正常圧水頭症)を区別した。また、パーキンソン病の中には、脳型トランスフェリン及びαシヌクレイン・タンパク質の異なるサブグループの存在が示された。脳型トランスフェリンの増減の病態への関与の解明が期待される。

(星 京香)

連絡先

  • 公立大学法人福島県立医科大学 医学部 生化学講座  主任教授 橋本康弘
  • 電話 024-547-1141 / FAX 024-548-8641
  • 講座ホームページ http://hashimoto-lab.org/
  • メール (スパムメール防止のため、一部全角表記しています)

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