米国科学誌「Journal of Cardiac Failure」 掲載 〔平成28年4月〕
Associations with eicosapentaenoic acid to arachidonic acid ratio and mortality in hospitalized heart failure patients
心不全患者におけるエイコサペンタエン酸とアラキドン酸の比と 予後との関連性に対する研究

渡邊 俊介(わたなべ・しゅんすけ)
循環器内科学講座 大学院生
研究グループ
渡邊俊介、義久精臣、菅野優紀、滝口 舞、横川哲朗、佐藤彰彦、三浦俊輔、清水竹史、阿部諭史、佐藤崇匡、鈴木 聡、及川雅啓、坂本信雄、八巻尚洋、杉本浩一、國井浩行、中里和彦、鈴木 均、齋藤修一、竹石恭知
概要
論文掲載雑誌: 「Journal of Cardiac Failure」 〔2016 Apr. 29〕 これまでn-3多価不飽和脂肪酸の摂取が動脈硬化性心血管イベント、特に虚血性心疾患のリスクを減らすことが報告されており、最近ではエイコサペンタエン酸 (以下EPA)とアラキドン酸 (以下AA)の比が心血管疾患の危険因子として認識されてきている。しかし、心不全患者においてEPA/AA比が予後予測因子となり得るかどうかについては未だ明らかではない。 そこで我々は当院における連続した577人の心不全患者をEPA/AA比の中央値で2群 (low EPA/AA群:< 0.32 mg/dl、high EPA/AA群:≧ 0.32 mg/dl)に分類し、その2群間で患者背景や血液検査結果、心臓超音波所見、心肺運動負荷試験などについて比較し、心不全の予後との関連について検討した。2群間で肥満指数や血圧、ナトリウム利尿ペプチド、貧血、腎機能、栄養状態、ナトリウム値、左室駆出率などに有意差は認められなかったが、心臓死はhigh EPA/AA群に比べてlow EPA/AA群において有意に高い結果であった。さらに、多変量Cox比例ハザード解析にて交絡因子を調整して検討した結果、EPA/AA比が低値であることが心不全患者における独立した予後予測因子となることが明らかとなった。 結論として、EPA/AA比は心不全患者における独立した予後予測因子であり、EPA/AA比の適切な管理が心不全患者の予後に寄与する可能性が示唆された。
(渡邊 俊介)
連絡先
- 公立大学法人福島県立医科大学 医学部 循環器内科学講座 渡邊 俊介
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