日本臨床麻酔学会第40回大会 若手奨励賞(2020年11月受賞)

新しい酸素化予備能のパラメータであるOxygen Reserve Index(ORiTM)をどのように利用していくか

新しい酸素化予備能のパラメータについて考える医学部の大学院生のポートレート。

吉田 圭佑(よしだ・けいすけ)

医学部 麻酔科学講座 大学院生

研究グループ

吉田 圭佑ら

今回の受賞について

日本臨床麻酔学会

麻酔の臨床研究、経験を広く扱う学会であり、国内の麻酔関連の中で日本麻酔学会に次ぐ規模の学会である。

賞について

若手奨励賞とは、前年12月までの過去2年間に刊行された1編もしくは一連の複数論文業績をあげた、満40歳以下の第1著者に授与される賞である。

概要

Oxygen Reserve Index(ORi TM )(Masimo Corp., Irvine, CA, USA)は、動脈血酸素分圧(PaO 2 )が約100~200 mmHg程度の高酸素状態における酸素化の状況をリアルタイムで把握することができる新しい指標である。

われわれは、全身麻酔中の吸入酸素濃度(F I O 2 )を調整し、PaO 2 とORiの関係を検討した 1) 。観血的動脈圧をモニターする20例の予定手術患者において、F I O 2 を変更することで1例につき4組のORiとPaO 2 のデータを収集し、得られた80組のデータを解析した結果、PaO 2 <240 mmHgの範囲においてORiとPaO 2 の間には正の相関関係( r 2 =0.706)があり、PaO 2 ≧150 mmHgを検出するためのORiのカットオフ値は0.21(感度 0.950、特異度0.755)であった。この研究により、ORiをモニタリングすることで高酸素血症が検出でき、不必要な高濃度酸素の投与を避けることができる可能性が示唆された。このように、ORiがもつ“高酸素血症の検出”という特徴は、手術室だけでなく集中治療領域でも有効な可能性があり、今後さらなる研究が期待される分野である。

受賞論文:

1. Yoshida K, Isosu T, Noji Y, Ebana H, Honda J, Sanbe N, Obara S, Murakawa M. Adjustment of oxygen reserve index (ORi™) to avoid excessive hyperoxia during general anesthesia. J Clin Monit Comput. 2020;34:509-514. doi: 10.1007/s10877-019-00341-9.

関連サイト

連絡先

  • 公立大学法人福島県立医科大学 医学部 麻酔科学講座
  • 電話:024-547-1342
  • FAX:024-548-0828
  • メールアドレス: masui@fmu.ac.jp (スパムメール防止のため、一部を全角表記しています)

ページの先頭へ戻る