教授挨拶

放射線腫瘍学の 医学・医療の発展に貢献する

主任教授の鈴木義行がスーツ姿で腕を組み、福島県立医科大学の教室内でポーズを決めている。
主任教授 鈴木 義行

放射線治療・放射線腫瘍学は、機器やIT技術の進歩に伴い急速に発展を遂げております。高精度放射線治療、いわゆる“ピンポイント治療”、が普及し、有害事象(副作用)を増やすことなく制御率が向上し、多くの疾患・病期で“標準治療(第一選択)”となりました。まさに日進月歩の様であります。更には、体への負担が少なく、基本的に通院での治療(働きながらの治療)が可能であることから、超高齢化、人手不足が予測されている日本では、放射線治療が今後益々重要ながんの治療法として用いられると考えております。

しかしながら、放射線治療専門医は、現在でも、全国に約1000名(医師270名に1名)と極端に不足している状況で、放射線治療専門医の育成が大きな課題となっております。特に福島県は、過去、放射線治療専門医の育成が進まず、「最も放射線治療医が少ない県」、という不名誉な状況が21世紀始めまで続いておりました。そのよう状況のなか、福島県立医科大学では、急速に進歩する放射線治療、放射線治療専門医の不足、に対応すべく、福島県民の皆様への最先端放射線治療の提供、良質な放射線治療専門医の育成、更には、新たな先端的がん治療法の開発、を目的に、2014年8月1日、放射線腫瘍学講座(放射線治療科)を開設いたしました。

同時に、放射線治療機器の整備も進め、2016年に治療機器2台を最先端の機種に更新し、高精度放射線治療(強度変調放射線治療(IMRT)、体幹部定位照射(SBRT)など)を開始しました。現在では、全患者さんの半数以上、適応となる患者さんのほぼ全て、に高精度放射線治療を実施しています。また、2023年には、子宮頸がんの治療などで使用する遠隔操作密封小線源治療(RALS)機器を更新し、かつ、治療室内に専用CTを設置し、CTを撮影しながら処置をする高度な小線源治療が提供できる体制を整備いたしました。お陰様で、患者数は年々増加しており、2022年は、講座開設時(2014年)の約50%増、年間900名程の患者さんに治療を行いました。

また、人員も整備され、現在、常勤の放射線治療医8名(治療専門医4名)に加え、医学物理士3名、その他、放射線技師、看護師、等、総勢20名のスタッフで診療にあたっております。また、県内の放射線治療施設へサポートも積極的に行っており、現在、5施設に常勤医師を派遣し、県内全ての放射線治療施設で放射線治療専門医による治療が受けられる様になりました。今後も、県内のどこでも、必要な放射線治療が受けられる体制を維持すべく、放射線治療専門医の育成を続けてまいります。

福島の“放射線”の専門家として、“がん”の専門家として、皆様のご期待に応えられるよう、スタッフ一丸となって、日々、診療・研究・教育に頑張っております。ご支援・ご鞭撻の程、よろしくお願い致します。

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