脳神経外科専門研修プログラム

研修プログラムの信条

福島県立医科大学は、福島県で唯一の医学部です。福島県立医科大学を基幹施設として、県内外に8つの連携施設、10の関連施設と組んで、幅広い分野をカバーし、かつ専門性の高い分野を含めて研修するシステムをとっています。福島県立医科大学脳神経外科の研修プログラムの信条は、専攻医が「本物の脳神経外科」を身につける教育を提供することです。「本物」にこだわった教育プログラムとして、まず、第一に、若手のうちから、どんどん積極的に手術を経験してもらう方針のもと、広く脳神経外科を学びながら、専門性の高い分野については愛知医科大学、東北医科薬科大学、埼玉医科大学国際医療センター、東京都立小児総合医療センターなど国内のトップレベルの施設でも専門研修を受けることが可能な体制をとっていることが挙げられます。さらに、カダバーを用いた手術のための臨床解剖実習、脳腫瘍病理や高次脳機能を学ぶプログラムなど、日々の実臨床を通じたOn-the-job トレーニングだけでは身につかない基礎を鍛える豊富な教育コンテンツも自慢です。福島県立医科大学の研修プログラムは、「本物」に直接触れて、体験しながら学ぶ場となっています。男女を問わず、また国籍に関係なく、それぞれの個性やライフイベントに配慮して皆が助け合う、自由闊達でダイバーシティに溢れる脳神経外科が我々の理想です。あなたも、ぜひ仲間に加わりませんか。

鉄は熱いうちに打て

若手のうちからなるべく手術を執刀医として経験するように、若手の時期から積極的に経験を積む教育方針は我々の大きな特徴です。背景として、福島県は、全国水準と比べて、人口10万人あたりの脳神経外科医数が6.2人と全国平均7.2人に比べて少ないため、今後さらに脳神経外科医を増やす必要があり、特に国内有数の広い県域を持つ福島県で脳神経外科医療を十分提供するためには、一刻も早くエキスパートを養成する必要があります。逆にいえば、専攻医1人あたりの症例数が十分確保できる環境にあるともいえますし、早期から手術に主体的に取り組むことは、すなわち、執刀医を経験して初めて指導医や同僚の手術を見る時の視点や意味が、それまでの単に傍観者であった時と全く異なったものになり、活き活きとした「本物」の体験として、大きな学びにつながるのです。

豊富な教育コンテンツ

福島白質解剖セミナー(年1回)

ご献体いただいた脳を用いた3D解剖実習で、脳内の白質線維束を含め、実際に脳を自身の手で系統的に解剖する実習です。脳解剖を立体的に学ぶことで、実際の手術の場面に活きる形で解剖を理解することができます。さらには、脳神経外科は、そのフロンティアの一つとして、ネットワークとして機能する脳を理解し、高次脳機能を温存する手術・治療の実現を目指していますが、このセミナーは、その礎となるものです。日本では、未だ、こうした白質解剖のセミナーの普及が進んでおらず、福島県立医科大学のセミナーは全国の専門分野の先生方から参加の希望を毎年いただいております。専攻医として研修の段階から、こうした機会を利用できることは、大変貴重で贅沢ともいえる機会であり、福島県立医科大学脳神経外科の研修プログラムの大きな特徴といえます。きっと「本物」の脳の持つ魅力に引き込まれてしまうことでしょう。

福島頭蓋底外科ハンズオンセミナー(年1回)

ご献体を用いた手術解剖のセミナーで、専攻医が主役です。手術顕微鏡だけでなく、近年進歩の著しい内視鏡を用いて、頭蓋底アプローチを中心に実践的な解剖を学びます。参加者の個人のレベルにあわせて、基本編から、エキスパート編まで、手術解剖と手術手技そのものが学べる貴重なトレーニングの機会です。教科書や動画、日常の手術の経験だけではなかなか学べない、立体的な解剖・詳細な解剖の理解につながり、手術を学び、習熟していく中で、次の手術レベルへと進む際に非常に重要な実習です。福島県立医科大学の研修プログラムの中心的な考えである「早期から手術に主体的に取り組む」ためには、こうしたカダバーを用いた臨床解剖実習が大きな基礎となっています。

脳腫瘍病理カンファレンス(月1回)

福島県立医科大学の脳腫瘍の全症例を、病理医の解説付きで学びます。専攻医がまず病理標本の画像を見て所見を述べながら、病理診断についてプレゼンテーションします。これに対して、病理医が、詳しく解説します。脳腫瘍病理は専門医試験でも組織像を含めて頻出のテーマとなっていますから、普段からトレーニングが重要です。最初は病理標本を読めなくても、学年が進むと基本的な脳腫瘍について、病理組織像が読めるようになります。「門前の小僧習わぬ教を読む」とは良く言ったもので、実際、このカンファレンスに言語聴覚士の1人が自主的に毎回参加していましたが、基本的な脳腫瘍の病理組織像が読めるようになってしまいました。我々のプログラムの専攻医は、毎月のこのカンファレンスに参加していれば、もちろん自然に身についてしまいます。こうして「本物」の見方ができるようになると、脳腫瘍病理の教科書で勉強が、深い理解につながります。

高次脳機能勉強会(月2回)

患者が真のQOLを維持・実現すること、すなわち、自宅への退院だけでなく、社会復帰まで実現するためには、高次脳機能と、その神経基盤の理解が欠かせません。次世代の脳神経外科医には高次脳機能を理解し、これを温存することが求められています。しかしながら、高次脳機能を独自で学ぶのはなかなか大変ですし、学ぶ機会が多くない現状があります。そこで、主に初学者の方を対象に、高次脳機能勉強会を月2回開催して、高次脳機能/神経心理学の教科書の輪読を行なっています。本会は、金曜日の18時30分から30分間に限定して短時間で勉強すること、ZOOM形式ですので、どこからでも参加でき、基礎から学び、エキスパートの先生に解説やコメントをもらえるなど、忙しい日常の中で、効率よく、かつ継続的に学ぶことができるようにしています。実は、もともとは、医局の小さなカンファレンスルームで、院内のスタッフのみでこじんまり始まった会なのですが、ZOOM時代になったおかげで、現在では北は北海道、南は九州から参加者があり、脳神経外科医だけでなくリハビリスタッフも参加する多職種の勉強会となっています。

福島県立医科大学の得意分野

福島県立医科大学脳神経外科は、3.0テスラ超高磁場術中MRIとナビゲーションシステムを統合した日本有数の最新鋭手術室を擁して、さまざまな分野で治療成績の向上に取り組んでいます。この"Intelligent operating theater"のもと、言語機能を含め高次脳機能を温存する覚醒下手術、内視鏡を用いた低侵襲手術、高難易度の頭蓋底外科手技などを積極的に取り入れています。さらに、血管撮影装置を備えた”ハイブリッド手術室” が隣接しており、血管障害に対して、血管内手術・開頭手術の両面で活用しています。専攻医にとって、こうした現在の最新の手術環境は、すなわち、未来の標準ですから、時代の流れを先取りする脳神経外科医療を身につけることができます。また、当科は「お家芸」として、専属の生理検査技師が所属して、専門性の高い、さまざまな神経機能をモニターする術中モニタリングを活用しているのも特徴といえます。

福島県立医科大学脳神経外科のダイバーシティとキャリアサポート

我々は、優れた組織とは、「個性豊かで多彩な人材がそれぞれの個性を発揮して輝き、また互いが個人の特性・ライフイベントに配慮して補いあう、そんな組織だ」と考えています。この考え方は、学閥にとらわれない、さらには、国籍を超えた教室の人材登用に現れています。外国人の大学院生を複数受け入れ、また、海外からの短期留学生を毎年受け入れている実績があり、実際、その中から教室の正式なスタッフにお迎えした人材もあります。また、脳神経外科といえば「男社会」が当たり前の時代もありましたが、我々の教室では男女含めて分け隔てなく、仲間に迎え入れております。幸い、多くの男性スタッフ、女性スタッフが結婚・出産といったライフイベントを経験しています。近年の労働環境の改革のなか、女性の出産・育児休暇はもちろんのこと、男性育休についても取得を推奨しており、長い例では5週間の育休期間で子育てと家事に奮闘した例もあります。親族の介護の場面では3ヶ月間の介護休暇を教室員の皆で支えたこともありました。臨床的な側面だけでなく、研究面における力も伸ばしてほしいと考えており、大学院進学を推進しています。希望される方には、専攻医のうちから大学院に通うことも可能です。専門性をさらに伸ばすために、専門医取得後、国内外への留学も可能です。「個性豊かな人材がそれぞれの個性を発揮する」、これが我々の教室の使命と考えています。 

定員/期間
定員: 1学年5名まで
期間: 4年間

協力研究施設

基幹研修施設 福島県立医科大学附属病院
連携研修施設 太田綜合病院付属太田西ノ内病院、公益財団法人星総合病院、公立藤田総合病院、医療法人辰星会枡記念病院、福島赤十字病院、南相馬市立総合病院、あづま脳神経外科病院
関連施設 埼玉医科大学国際医療センター、東北医科薬科大学病院、福島労災病院、公益財団法人湯浅報恩会寿泉堂綜合病院、総合南東北病院、南東北福島病院、大原総合病院 

 

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